ep.63 ラグナロク第二戦 ページ16
「あの……私、前の席行こうか？」
「問題ない」
ダーナはこちらに目もくれず、ぴしゃりと言った。
ラグナロク二回戦。出場チームには専用の席が設けられており、私たちチーム０１はそこからスタジアムを見下ろしていた。
私の左隣には菜花がおり、右隣にはダーナが座っている。ダーナは雷門の選手の隣に座りたくなかったのか、目線で菜花とのあいだに座るよう訴えてきたため、それに従った。
そして、ダーナを挟んで壁側にガウラとウォードが座ったのだが、どうにもスペースが足りておらず、二人が壁に押しやられているように見える。二人とも体格がよいから、並んで座るには無理があるのだ。
ただ、ダーナに文句を言おうものなら冷ややかな目で「何？」とねめつけられるのがオチであるため、ガウラもウォードも大人しくしていた。悪いとは思いつつ、おもちゃ売り場に所狭しと並べられたぬいぐるみのようで、少し笑ってしまった。
「さあ、ラグナロク二回戦！ 一回戦はフェーダの勝利、エルドラドはこの試合で引き分け以上の結果を出さなければ、ラグナロク敗退！ もう後がなーーい！！」
そうこうしているうちに、二回戦が始まる。フィールドに並ぶ選手たちを見て、私たちは驚きの声を上げた。
「なっ、なんじゃあ！？ ザナークがこっちのチーム！？ どうなってるぜよ！！」
「何かあったらしいな」
昨日はチームザンの一員だったザナークが、ルートエージェントのユニフォームを着て、チーム０２の列に立っていた。一体、どういう風の吹き回しなのだろう。
アルファ・ベータ・ガンマの三人に加えてザナークまでいるとなると、実力としては申し分ないが、チームワークに懸念が残る。アルファは「心配ない」と言っていたが、私は彼らを取りまとめなければならない神童が心配で仕方なかった。
ふと、隣で菜花がきょろきょろとスタジアムを見回していることに気がついた。
「どうかした？」
「あっ……フェイが、いるかもしれないと思って。でも、見つからなかったやんね。ここには来てないのかも……」
「ああ、うん……」
フェイは、一晩経ってもとうとう姿を現さなかった。フェーダ側についたのは間違いないだろうが、フェーダで彼がどんな状態にあるのかはわからない。菜花は彼の身を案じているのだろう。――雷門からすれば、フェイはとんだ裏切り者であるのに、まだ見捨てないのだろうか。
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
