ep.59 ページ12
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チームザンのボールで後半開始。
「どけよ！」
錦とともにボールを奪おうと向かったが、あっけなく弾き飛ばされてしまった。勢いのままフィールドを転がる。ぶつかった衝撃で、頭がくらくらした。チームザンは、特に体格のよい選手が集まっているのか、フィジカルの差を埋めることができないでいる。
「どうした？ もっと楽しませてくれよ！」
ザンの選手はそう言いながら、チーム０１のゴール――ではなく、三国のみぞおちめがけてシュートを放った。三国ごとゴールネットに叩きつけられる。
「ゴーール！！ チームザン、決定的な追加点を上げたーーー！！」
得点は０対５。チーム０１に、絶望感が漂っていた。過激なプレーに、味方の裏切りまで上乗せされて、精神的に負けている――勝利への道筋を見失ってしまった。
「剣城！」ベンチから鬼道監督が叫んだ。「ハーフウェイラインを超えて、ディフェンダーを敵陣地まで上げろ！」
鬼道監督が出した指示は、暗に全員攻撃をしかけろというものだった。この状況で守備を手薄にするという作戦に、剣城が「それは無謀です！」と返す。
「逆に失点を重ねる可能性があります！」
「冷静に試合を見ろ」
ぴしゃりと言った。何か言いたげだった剣城が、一瞬怯んで口を噤む。
「この試合は負けると見るべきだ。ならば、次の勝利のための布石を打つ！」
「しかし――」
「いいか？ ここで決める一点の価値は、敵と俺たちとではまったく違う。俺たちが決めれば、エルドラドチーム全体のムードが変わる」
剣城は、納得しきった顔ではなかった。しかしながら、鬼道監督の言葉をしっかりと飲み下した様子で、鬼道監督の元へ向かった。
「だからこそ、何としてでも一点を取る。……そういうことですね」
「次の試合を控える者に、勝利の希望を残すんだ」
諭すような鬼道監督の声に、みぞおちのあたりがカッと熱くなった。自分の意思とは関係なく、片方の口角がひくついた。吐いた息が浅い。
雷門のボールで試合再開。
鬼道監督の指示通り、チーム０１のフィールドプレイヤーは総攻撃をしかける。
一歩、また一歩とフィールドを駆けるたび、腹の中で怒りが勢いを増す。
――勝利の希望、だって？
過激なディフェンスの餌食になっている錦に向かって、私は力いっぱい呼びかけた。
「錦！ こっち！」
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
