ep.58 ページ11
「フェイ！」
呼びかける声に、フェイが顔を上げる。観客席から、松風が顔を出していた。
「どうしたの？ あんなミスするなんて、フェイらしくないよ！」
松風の言葉に、私は苛立ちを隠せなかった。彼はよっぽど楽観的なのか、それとも――彼のオウンゴールは、明らかに
「ミス？ ……違う。ゴールを入れたのさ」
冷たい声でフェイは言った。二人のやりとりに、チーム０１の空気が刺々しいものに変わったのを、肌で感じた。
「でも、味方のゴールじゃないか！」
「味方じゃない」
「えっ……？」
戸惑う天馬に、フェイははっきりと言った。
「僕は、天馬たちの味方じゃないんだ」
頭の中で、点と点が勝手に――嫌でもつながっていく。孤独な松風天馬の元へ示し合わせたように現れたこと、エルドラド側からフェイに関する情報が閲覧できなかったこと、オウンゴール、「味方じゃない」という発言。
「何を……言ってるの……？」
フェイは、天馬の言葉に何も返さず、その場を去ろうとした。菜花がそのあとを慌てて追いかける。
「待って！ サッカー、守りたいんじゃなかったの……！」
菜花の言葉に振り返ることもなく、フェイは暗い通路の中へ消えていった。
「まさか、あいつは敵の……」
「スパイだったとでも言うのかよ……」
残念ながら、そういうことだ。
選手たちが呆然としている中、鬼道監督に声をかけられた。
「A、後半から出てもらう」
「……はい」
こんな形で、ベンチから引きずり出されることになるとは。
今や、私たちのチームは試合どころではなく、フェイがスパイであったということに動揺していた。チーム０１は雷門の選手のほうが多いから、プレーにも大きく影響してしまう。ＳＡＲＵはあえてこのタイミングを狙ったのだ。私たちの戦意を喪失させるために。
「さあ、後半戦だ！！ エルドラドチーム０１は、フェイに代わりAを投入しました！！ チームザンが得点差をキープか、それともエルドラドチーム０１の逆転か！？ 後半戦も見逃せないぞーーー！！」
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はるま(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！ bizyuさんもあたたかくしてお過ごしください( ¨̮ ) (12月19日 0時) (
レス) id: 99f9ea638a (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて時間も忘れるほどに何度も読み返しています！これからもお身体には気をつけて頑張って下さい！ (12月18日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2023年11月30日 22時
