第486話 ナイショとナイショ ページ36
*
一つ荷物の中に、着替えやシューズ、タオル等の必需品を詰め込んだ選手達はサッカー棟を出て、監督等が先に乗り込んでいるというTMキャラバンへと急いだ。
そこで、意図的に最後尾をついていたフェイの瞳が鋭く光る。
「――黄名子!」
「…………?」
彼女に、聞きたい事があったのだ。仲間達から離れて話をするなら、この時しかない。
そう思っていたのだが、いざ切り出すとなると、口からその言葉を放つのが憚られた。黄名子が今まで雷門イレブンと共に、皆のためにと戦ってきてくれていたのは本当だ。
しかし、時空の絡む事態となると状況はややこしくなってくる。隠し事は、厄介だ。
「なに?」
「……君に、お金持ちの親戚が居るっていうのは……嘘だよね?」
「うっ! ……バレてたか」
「どうして、そんな嘘を?」
呼び止めた以上は、何も言わない訳にはいかない。フェイは思い切って問い詰める。よく考えても見れば、菜花黄名子は初対面の時から謎めいた“仲間”だった。
当初は、彼女に関してはタイムパラドックスが生んだ副産物と思われてきたが、アーティファクトにまで手を出せる立場である事まで証明されると、殊更怪しくなる。
元々親戚の存在どころか、家族の事や学校での交友関係すら匂わせていないのに、あの場に居る誰からも疑われやしない等と、本気で思っていたのだろうか。
「ナイショ、ナイショ! でももうすぐ、ウチの事がわかるやんね。それまでは秘密!」
「…………」
“ロビン”の事に関しては、あれほどあっさり彼女から打ち明かされたというのに。
何だか良いようにあしらわれてしまったフェイはむくれた顔をしたが、それを無視した黄名子がさっさと先へ行ってしまうので、慌てて後に続く。
TMキャラバンの中では、既に監督等と合流し、十分な心構えをしきった仲間達がいつこの乗り物が発進するだろうかと、どこか緊張した様子で待機していた。
「これで準備よし!」
「待ってください! フェイと黄名子ちゃんが、まだ来てません!」
「なに?」
「ごめん、ごめーん! おーまたーせやんねー!」
ワンダバと葵に急ぎ声をかけて、間違いなく準備が完了している事を伝える黄名子。フェイはあからさまに強い視線を向けるが、朗らかに笑う彼女は全く気に留めず。
――まだ、納得なんてしていない。今になって浮上した警戒心を、脳裏に刻み付ける。直にわかると本人が言うのなら、その時には必ずこの目と耳で真相を確かめなくては。
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 9時) (
レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの人 - 凄い久しぶりに見に来たけどやっぱ一気に見ちゃいますね！更新したかなー？ってぐらいでまた来ますね(●´▽`●) (2020年8月12日 21時) (レス) id: 7c87d58c6d (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 彩夏さん» お久しぶりです〜! いつもコメントいただけて嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月10日 23時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - お久しぶりです！更新お疲れ様です！ (2020年7月10日 8時) (レス) id: e2a9603a24 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - かなりさん» またまたコメントありがとうございます〜! 大切に閲覧くださって本当に有難いです……。なかなか早く更新できなくて申し訳ありません;; 体調は大丈夫ですのでご心配なく! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2019年9月14日 7時
