第477話 アーサー王と見習い騎士 ページ27
*
“あった”って、一体何が? 斯く、誰かが問うまでも無く、一行の許に駆けつけた春奈の手の内にある一冊の本が、全員の視界に入る。
『大介さん、この本で間違いありませんか?』
『そうそう、これだ! この物語に出てくる者達のことだ!』
まさに、と言わんばかりの大介の興奮冷めやらぬ声色。A達が取り囲む机の上に差し出された本は、“アーサー王と見習い騎士”とタイトルが書かれた、子供への読み聞かせ向けの絵本であった。
曰く、大介がトンガットル共和国で入院していた時に、隣の病室の子供がこの絵本を持っていたのだという。
大介はそれを子供に読み聞かせてやるつもりが、気づいたら己の方がすっかり夢中になってしまい、面白くて読み切ってしまったのだとか。
『……アーサーが王座に即位した後の話か』
絵本の表紙に描かれたアーサー王は、彼がいつしか手に入れる事になるという伝説で有名な聖剣･エクスカリバーを、天に向かって高々と掲げていた。
その絵で、すぐに本の内容の時系列を察したAが呟くように言いながらページをめくり、事の顛末を流し読む。
すると、彼女自身を含め、傍らから覗き込んでいた陽真、鬼道、豪炎寺がただでさえ戸惑った様子を見せていた所、ついに呆れ切った顔つきへと変化していく。
『…………これは』
『完っ全に架空の話っつーか、夢物語っつーか……』
最早言葉を失い、何と言えば良いかわからないAと陽真の渋った声が、虚しく室内に響く――片や、春奈はすっかり物語を楽しんでいる様子。
いや、確かに物語として楽しむ分には全く問題ないのだが、“これ”をどうしろと。愕然とするばかりのAと鬼道の一方、豪炎寺と陽真は苦々しい面持ちだ。
後者の二人の表情を読み取った大介は、とぼけた声で彼等に問いを投げかけた。
『どうした、何か不満でもあるのか?』
『……ああ? ねー訳ねえよなあ、そりゃーなあ!? “コレ”関係のアーティファクトなんて在処も所有者が居るのも聞いた事ねーよ!』
――陽真がまだ14歳だった頃、FFIでリトルギガントの監督と選手という間柄として付き合いがあった当時から、大介のする事なす事には、度肝を抜かされてきたものだ。
だが、今回ばかりは冗談も大概にしてくれと、流石の陽真も音を上げる。本人は冗談のつもりは一切無いのだろうが、無理･無茶･無謀にも限度があるだろうと。
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 9時) (
レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの人 - 凄い久しぶりに見に来たけどやっぱ一気に見ちゃいますね！更新したかなー？ってぐらいでまた来ますね(●´▽`●) (2020年8月12日 21時) (レス) id: 7c87d58c6d (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 彩夏さん» お久しぶりです〜! いつもコメントいただけて嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月10日 23時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - お久しぶりです！更新お疲れ様です！ (2020年7月10日 8時) (レス) id: e2a9603a24 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - かなりさん» またまたコメントありがとうございます〜! 大切に閲覧くださって本当に有難いです……。なかなか早く更新できなくて申し訳ありません;; 体調は大丈夫ですのでご心配なく! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2019年9月14日 7時
