第471話 強烈なまでの負荷 ページ21
攻撃対象の一人となった神童と松風が、痛みに顔をしかめては唸る。
――確かに、このまま黙ってやられてばかりいては、サッカーどころではない。
ボールがタッチラインの外へと出たのを見届けた雨宮が、神妙な面持ちで口を開く。
「皆、敵の動きに惑わされたら守れない! 全員、一定間隔を保って
ゾーンディフェンスをやろう! 自分の受け持ちのエリアを全力で守るんだ!」
「太陽……」
「天馬も一緒にやるよ!」
「あ、うん……!」
なんとしてもこの状況を打破しなければ。強く訴えかける彼の声に、つい頷きを返す。
……そうか、彼も“キャプテン”だったのだ。松風の脳裏に、ふとした思いが過る。
ライン外に出たボールを拾い、選手達は、時間が許す限り試合を続けんとする。
相手選手は相変わらずのフットワークでボールを奪い、攻撃を再開した。
今度はレイ･ルクによるノーマルシュート。DF陣はこぞってこれの対処にある。
そして最後に、GKである西園が必殺技を放ち、シュートの威力を完全に殺した。
「っ止めた……!」
「やったな、信介! 凄いGK技だ! それに、太陽の指示のおかげだよ!」
あまりに厳しいと思われていた敵方の攻撃を、シュートを止めることが出来た。
まさかここまで渡り合えるなんてと喜びの声を上げた西園と松風だったが
片や、戦術の思考と提案を行う雨宮や神童は、思わしくない顔つきを見せる。
「……マズイです」
「ああ……」
「確かにゾーンディフェンスの効果はありましたが……」
「たった一度の攻撃で、ここまで消耗させられるとは」
これでは、実現不可能なトータルフットボールを行おうとしているようなものだ。
事実、先のシュートをブロックしようとしたDFは今、全員が疲弊しきっていた。
元より苦渋の決断ではあったものの、あまりにも“その場しのぎ”が過ぎる作戦だ。
このままではやられてしまうと、DF陣に加勢していた速水も泣き言を零す。
――実は、雨宮がこの提案を持ちかけた時、何も言いはしなかったものの
ベンチに居る監督二人も、あまり良い顔をしていなかったのだ。
そこへ、シュートを放った本人であるレイ･ルクが、無情にも一つの言葉を落とした。
「理解したかな? 実力の差を――」
誰一人として息を切らしてはいないし、指定のポジションに立ち微動だにしない。
どこまでも機械的な言動の相手に、身体的にも精神的にも圧倒される。
この試合が開始された瞬間からずっと、強烈なストレスが松風達を襲っていた。
第472話 解を明かさずして→←第470話 フライングディフェンダー
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 9時) (
レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの人 - 凄い久しぶりに見に来たけどやっぱ一気に見ちゃいますね！更新したかなー？ってぐらいでまた来ますね(●´▽`●) (2020年8月12日 21時) (レス) id: 7c87d58c6d (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 彩夏さん» お久しぶりです〜! いつもコメントいただけて嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月10日 23時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - お久しぶりです！更新お疲れ様です！ (2020年7月10日 8時) (レス) id: e2a9603a24 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - かなりさん» またまたコメントありがとうございます〜! 大切に閲覧くださって本当に有難いです……。なかなか早く更新できなくて申し訳ありません;; 体調は大丈夫ですのでご心配なく! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2019年9月14日 7時
