第451話 遥かなる空 ページ1
人の視界さえ遮る建物の無い平原では、時折、爽やかな風が吹き抜ける。
Aはその風を肌に感じ、ボールが蹴られる音を耳にしながら、天を仰ぎ見ていた。
太陽が存在している間の空の色は、どの世界も同じだと思考の端で認識しつつ
遥か向こうには、常に無数の星々も存在し続けている事を思う。
Aの海色の瞳に、彼の空を見させまいとせんばかりに白雲が流れていくのが映る。
“願いは届かず”か――ふと、己を嘲笑したその瞳が、緩やかに閉ざされた。
「――目標、捕捉」
不意に、無機質な声がストンと落とされる。
瞬時に敵が接近した事を察したAの瞳は再び開かれ、声の主の居場所を探る。
同じく、唐突な事態に息を呑んだ仲間達も周囲を見渡した。
そして彼等の視界に入ったのは、足下に異質なサッカーボールを携えた一人の少年。
「あれは……スフィアデバイス!?」
「って事は、アイツは……!!」
目を見張ったフェイと錦が言うと、イレブンの間で急激に緊張が走った。
十数人の視線を集める少年は動じることなく、足元のスフィアデバイスを操作する。
彼がムーブモードを発動すれば、辺りは瞬く間に光に包まれ、その眩しさに目を閉ざし
次に一同が辺りの景色を認めた時には、全く別の場所へと移動しているのだ。
「な、なんだ!? どうなってんだ!?」
“アイツ”――即ち、エルドラドの一員と出会った時こそが、逃れられない勝負の時。
それを知らないトーブは驚いて身体を硬直させるが、再び一人の少年を見やると
何かに気づいた様子で咄嗟に顔つきを強張らせ、声を上げた。
「……あ! お前だな、ロックスターをあんな目に遭わせたのは! においでわかっぞ!」
「ロックスター、死亡。この事象によって、
君達の目的は達成不可能になる。諦める事が懸命」
「何を言っとるがぜよ!」
表情一つ動かさず言葉を返す少年は、対面して間もなく雷門イレブンの反感を買う。
しかし、キツく眉を寄せた錦が怒鳴る片や、また一人の男が新たに岩陰から現れれば
どこまでも機械的な印象を抱かせる少年の傍らに立ち、無慈悲に告げる。
「やはり、潰すしかないようだな。レイ･ルク」
「…………! アイツは」
「エルドラドの刺客だな!? 名を名乗れぃっ!!」
多数の視線が男の方に移される中、ほんの微かな声でAが何やら言わんとした。
だがこれは、一同の前に躍り出たワンダバが盛大に遮り、誰の耳にも届かない。
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 9時) (
レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの人 - 凄い久しぶりに見に来たけどやっぱ一気に見ちゃいますね！更新したかなー？ってぐらいでまた来ますね(●´▽`●) (2020年8月12日 21時) (レス) id: 7c87d58c6d (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - 彩夏さん» お久しぶりです〜! いつもコメントいただけて嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月10日 23時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - お久しぶりです！更新お疲れ様です！ (2020年7月10日 8時) (レス) id: e2a9603a24 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - かなりさん» またまたコメントありがとうございます〜! 大切に閲覧くださって本当に有難いです……。なかなか早く更新できなくて申し訳ありません;; 体調は大丈夫ですのでご心配なく! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9770b7b01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2019年9月14日 7時
