因縁 ページ1
「……バカ、場が混乱するだけだろう……」
殺意と敵意を剥き出しにして、女は銃をクレアに向けている。その様子を見て『女には的確に任務を果たすつもりがないのだ』と悟り、呆れたように首を静かに振る。
「悪いな、だが生かすことができないようだからな」
そういい、イヴァンは魔王にその目を向ける。魔王は、イヴァンに向けていつになく冷たい視線を浴びせる。
「彼女は、一年前ほどまで私に付きまとっていたストーカーだ。その女を側に置いて私に迫る……何が狙いだ?」
「私の望みではない、彼女の望みだ」
イヴァンも、同じく冷たく見据える。だがその顔には何の感情が込められているか、薄く笑みが浮かべられていた。
「……私も覚えております。いつも魔王様に付きまとって、挙げ句の果てには奥様の形見を壊そうと……
なぜあなたがまた魔王様の前に?」
女も、薄く笑みを浮かべている。その目はクレアからニャルへと向けられた。
「あら、あの人の新しい女だったかしら?この私とは違って、地味でブスね」
あからさまな煽り言葉でニャルの気を引く。それにかかり、ニャルは無言で女を触手で突こうとそれらを伸ばす。
しかし、女に届く前にその触手に違和感を覚え、慌てて引っ込める。
相手は遠距離を狙うための銃を持っている。近距離ならば逆に相手を狙いづらくなると踏み、肉弾戦を試みたのだ。
思いきり飛びはね、女の前へとその姿を近づけた。余裕を見せていた女の顔が強ばり、ニャルから距離を取ろうとする。すかさず女の手に握られた銃を振り払い、女を身一つにした。
落とした銃を拾う隙さえ与えず、ニャルは女の体を持ち上げ、地面へと叩きつける。重い衝撃に、女は思わず声にならない悲鳴を上げる。
「くっ……私よりも可愛くないクセに、生意気ね」
「魔王様には出だしさせませぬ、貴女はあまりにもあの方には不釣り合いでございます」
「まあ、良いわ。私はメイドよりもあの女が気にくわないのよ……」
そうボソボソと言い、女はクレアに瞳を向ける。それに気がつき、彼女も女を見据える。だが何の感情も込められることのない瞳の輝きだった。
「……私に何の嫉妬をしているのか分からぬが、私は私を美しいとは思ったことは無いぞ」
モデルのオーディションを受けた彼女はただ夢を叶えたいと思っていただけである。自分を美しいと思う故の行動では、決してない。
「ふん、偉そうに物言い?」
「……」
これには、クレアも呆れることしかできなかった。
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カレン - ありがとうございます、あんなクソ作品見ていただいてありがとうございます(二回目) (2018年9月29日 20時) (レス) id: 54cd55ba5b (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - カレンさん» カレンさんお久しぶりです。カレンさん良かったです(ごいりょく) (2018年9月26日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
カレン - おっと作家名のままだった、失礼 (2018年9月25日 18時) (レス) id: 54cd55ba5b (このIDを非表示/違反報告)
キリサメさん - カレンは圧倒的裏ボス的なイメージで考えたキャラなので、能力考えるのにかなり時間が... (2018年9月25日 18時) (レス) id: 54cd55ba5b (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - カレンさん» 良かった〜、間違ってたらどうしようかと思ってたんだ!ネーミングから参考にさせていただきますた。 (2018年9月24日 22時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Olivie x他1人 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/olivie_with_Riv
作成日時:2018年9月23日 0時