詐欺師 TheLastBorder3 (ページ39)

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ホスト界のダークホース・レイページ39

「ただいま」

と、静かに呟きながら部屋に入ってきたそいつ。暗い中での出来事だったが、よくよく目を凝らさなくてもそいつはレイであるということが分かった。部屋に入ってきたレイは、片手に大きめのバックを持っている。

「……女に会っていたのか」

私たちの元へ歩いてきた彼は、甘いけれどもはっきりとしないような、気持ちの悪くなる香りを纏わせていた。
きっと、女といっても一人ではないのだろう。

「ふっふん……僕の働きに敬意をはらってほしいものだね、これでしばらくはお金には飢えないよ！」

彼が片手のバッグをひっくり返した瞬間に、札束がドボドボと音をたてて落ちてきた。案外大きかったその音はカレンやニャルたちの耳にも届き、眠りの世界から覚まさせたようだった。

「……それ、なんですか？」

「ふふ……レイ、相変わらずすごい稼ぎようだね」

ニャルには見慣れていないのか、札束を見ても大きく反応をすることがなかった。逆にカレンは、見慣れすぎて大きく反応しなかったようだ。
私たちは、その札束の量があまりにも多すぎて腰を抜かす他無かった。

「いやね、本当はお酒とかをおごってもらうのが基本なんだけどさ……お金が欲しいでしょ？そうじゃなかったらここにも泊まれなさそうだし」

これが彼の仕事なのか……
私の個人的な見方としては、
ホストほどギャンブル要素が強く、本当に儲かることがないだろう仕事は、他には無いと思っていた。

まさか一晩でここまで稼ぐとは……

「まあ、僕はホストの帝王に注目されるほどの実力ではあったからね」

輝かしい生活を送っていたんだろうな……こんな男がよくこの世界線で生き残れたものだ……
いや、逆だ。こういう男だから、この世界線でも生きてこれたのだろう。

「お風呂は……いいね、ジャクジー付きとは想定外のお楽しみだ！」

彼は澄ました顔をして、浴室へと消えていった。

「……クレア、これならかなり自由に装備を整えられるぞ」

「どうせなら少しとっておきたい気もするけど……」