詐欺師 TheLastBorder3 (ページ25)

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起死回生ページ25

クレアの見込みは間違っていなかった。彼女がランプをぶつけたある一体のメイドは、触手の再生に手間取っていた。

「そうか……クレア、お手柄だな。少しはマシな展開になるだろう……」

そういう魔王は、崩れたひとつの石を拾い、クレアに渡す。

「今の君は俊足で高速移動ができる、その勢いでこの石を熱させるのだな」

それでメイドを殴れと……原始的だがこれもひとつの方法。ましてや、魔法の類いが一切使えない私にはこれしか方法が無いだろう。

「死なないでよ」

私はそう呟き、皆から離れた。移動速度だけならば、私はメイドに勝てるらしい。メイドが私を襲う前に私はメイドが囲う輪から逃げられたのだ。
そして私は飛ぶように城を駆け巡った。地から足を離し、まるで空を飛ぶように、壁沿いに石を押し付ける。

それを繰り返しているうちに、石から煙が起こり始めた。まるで火でも吹きそうだ。

*

「あんまり女の子に手をあげたくないけど、仕方ないよね」

レイは頭を掻き、ニャルを面倒くさそうに見つめる。三体のうち、剣を持たないニャル二体がレイへと飛び込んでくる。息のあったような動きでレイに殴りかかる。しかしレイは、それを両腕を顔の前で組み、その拳たちを弾く。
体ごと吹き飛ばされ、体全てで二体のニャルは踏ん張る。

「きゃああああああ！！」

しかし、そのうち一体がバランスを崩し穴の空いた城の底へと落ちていく。触手で崩れた床へしがみつこうとしたが、掴んだ床すらも崩れ、あえなく奈落の底へと消えていってしまった。

「あとは、本物と君だけだね……」

その場に留まったニャルが悔しそうに顔を歪ませ、レイを睨む。そして更にレイへと突進してくる。触手もフルに使い、レイをタコのように殴るが、残念ながらそれはいまいち届いていないようだった。
レイは傍らのサブマシンガンも使い、ニャルの触手を一時的にだが防いでいた。その一時でニャルに迫り、マグナムを一発撃つ。

「レイ、成長したものだな」

「……僕だって学習くらいするさ」

それでもニャルは倒れず、再びレイに殴りかかる。更にもう一体の本物のニャルは魔王へ迫る。次の一撃で魔王を殺すつもりであるようだ。デモンブランドをなんの躊躇いもなく振りかざす。