詐欺師 TheLastBorder3 (ページ20)

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再戦ページ20

「……起きろクレア」

体をやや揺さぶられながら、上から声が掛かってくる。目を開けていくと、目の前にはレイが私の顔を覗いていた。シャンデリアの光が反射し、その表情はよく分からなかったが、オーデコロンのような香水の香りが私の鼻を包んできた、それでなんとなく察しがついたのだ。

「カレンがクレアを心配していたのでな、起こさせてもらったのさ」

私の背中に手を回し、優しく私を起こしてくれる。ソファには、心配そうな顔をして私を見てくれるカレンの姿があった。

「クレア、ごめんね……あなたを落とすつもりなんて無かったの……」

「カレンたちには怪我はないか？」

そう聞けば、カレンはその顔を縦に動かす。そして立ち上がり、私に近寄ってきた。

「クレア……」

「……！」

どういうわけか、カレンはいきなり私に殴りかかってきた。それも一瞬で私との間合いを詰め、確実に私を仕留めるように。

「……危ない」

……どういうわけか、私はカレンの攻撃を避けていた。絶対当たったと思っていたが、奇跡的なことが起きたのだと思った。

「本当だ……お兄さんすごいね！」

避けたのは良かったが、カレンが間髪入れずに攻撃を繰り出す。次は腕を曲げ、私の顔に当たるように回し出した。
ヤバい……

痛……くない？

「！？」

さすがに自分でも驚いた、気がついたら窓が私の後ろに……
窓から流れてくる月の光が見守るように私を照らしてきたのだ。
そう、私は咄嗟に攻撃を避けられたのだ。体が紙にでもなったのではないかというほどに軽やかに感じた。だから私はカレンを避けることができたのだ。
これが……力？

「君には、『並外れた動体視力』と『空を飛べるほどの瞬発力』を託した。これならば、敵を撒くこともできる。その気になれば攻撃にも応用できるのだ」

なんとも使いづらい力を……いや、それでも何も無いよりは良かった。新しい自分を覚醒させられたかのような嬉しさが底から沸き上がるように私をワクワクさせた。手を開いては閉じ、開いては閉じ……なぜかワクワクした。