七話 ページ26
こんなにも一瞬で変わってしまうものなのかとほとんど何も残っていない暗いホールを見渡した後、疲れたように階段に腰掛けたデラクルスの隣に座った。
小型犬の姿をした四匹のアレブリヘは主の現状を知ってか知らずかただ無邪気に駆け回っている。
「ヘクターは俺の親友だった。お前の曲無しじゃやっていけないと必死に頼んだのにあいつは結局家族を選んだ。だから毒を盛って殺した。ギターも奪って、何もかも手に入れたと思ったのにあの子供がやってきて全てが変わってしまったよ」
「後悔してる?」
「悔やんだりなどするものか。俺はチャンスを掴むためならどんなことでもやる。あぁ、前にも言ったな」
そこから沈黙が続き、Aはポツリと呟く。
「パパ・エルネスト。僕、ミュージシャンになろうと思うんだ」
「フッ……そうか。成功するとは到底思えんがせいぜい頑張れ」
「ありがとう」
「お前も物好きだな。こんな俺に会いに来るなんて」
「僕は今でもあなたのことが大好きです」
黙りこんだデラクルスはマリーゴールドの花びらを摘んで言う。
「A、お前に赦しを与える」
「え?」
「お前、本当に俺の子孫だったのか」
光った花びらを見つめて彼はおかしそうに笑った。
「信じてなかったの?」
「半分は信じていたさ。そうは言っても結婚もしていなかったからな。残念だが俺はヘクターと違って一途じゃないんだ」
アマリアが聞いたらショックを受けるだろうがAは別にデラクルスを軽蔑する気は毛頭なかった。一年前に彼の残虐な本性を知ってしまってから少し鈍くなっているのかもしれない。
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください!! (2020年2月22日 4時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 娘であったお婆ちゃんが悲しそうにしていたのは少し切なかったですがそれでもひいお婆ちゃんは無事にお父さんとお母さんの側に行けたので良かったと思います。そして良い家族に囲まれて幸せだったと。 (2018年5月12日 10時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 私も今回のディズニー映画は漫画が本音を言ってしまえば可愛くないのでそれでもディズニーは好きなので暇潰しとして見ようと思ったんです。そしたら凄い感動したので見て良かったなと今では思います。ただ残念な事に家族の一員であるひいお婆ちゃんが亡くなっちゃって (2018年5月12日 10時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュ・アリーゼファー(プロフ) - ポチさん» 観終わったらまた観たくなる映画でした!ほのぼの系かと思いきやミステリー系で、予告と違っててはまりました! (2018年5月11日 21時) (レス) id: a7910e6428 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 初めまして。リメンバーミー9回も見たって本当ですか?凄いですね。私も一昨日見に行きました。生きていた頃のヘクターが格好良かっただけでなく、ストーリーも凄い良かったので感動しました。私ももう一回見たいなと思いました。 (2018年5月11日 20時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラージュ・アリーゼファー | 作成日時:2018年4月8日 23時