リメンバー・ミー もう一つの物語

五話 ページ24

＊


「ミゲル！」

「あ、A！」

　日が暮れた頃、Aはミゲルの家を訪れた。

「久しぶり！ 最近会ってないからどうしたのかなって気になってたんだ。どうしたのそのメイク！」

「ちょっと事情があってね」

　Aは今度は自分で骸骨のメイクをしていたがミゲルが心配するのが分かっていたので流石にその理由は言えなかった。

「ちょっとギター見に行ってくるね！」

　言うが早いがAは駆け出して目当ての場所へ飛び込んだ。

「流石に強引だよね」

　久々に会って早々びっくりしただろうと自分自身に呆れながらAは飾られたギターを手に取って弾いた。

「A？」

　後から入ってきたミゲルは元どおりに壁に飾られているギターを見てから訝しげに

「A、もう帰っちゃったのかな？」


＊


　“死者の国”再入国の列に並んで誰かの家族のフリをして忍びこむのはこれで二度目だったが今回もバレずに済んだ。

「A、本当に来てくれたのか！」

「うん。久しぶり、パパ」

　Aは街を見渡して笑う。

「ここ、変わってなくて安心した」

「いつも賑やかさ。変わったことといえば、ヘクターが有名人になったことくらいかな？」

「そうかも」

「あいつが消えなくてよかった。それで、今回は何を盗んだ？」

「ちょっとヘクターのギターを拝借した。すぐに戻したけど」

「ミゲルびっくりしたんじゃないか？」

「うん。会うのが待ちきれなかったからつい」

「パパもお前に会えて嬉しいぞ！」

　上機嫌になるファウストをよそにAは別のことを考えていた。

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