第三章 ページ12
夜明けまでまだ時間があるということで街を散歩していると視線の先にAを連れてきてくれた紳士がいた。
なんだか嬉しくなって駆け寄ると彼はひどく驚いたようにAをじろじろ見た。
あ、そうか。あの時は僕のこと死者だと思ってたから。
だがその紳士が驚いているわけはもう一つあった。
「お前、まさかAか?」
「僕のこと、知ってるんですか?」
「分からないか? 父さんだよ」
「ええ!?」
改めてよく見ると確かにどこか父、ファウストの面影を感じる。
居るとは分かってた。でもまさかこんな近くに……。
「……パパ?」
「そうだよA」
「パパ!」
Aは堪え切れなくなり、父に抱きついた。
「会いたかった……ずっと会いたかったよ」
「私もだよ。“死者の日”にお前の様子を見に行けるだけでよかったはずなのに、ついつい欲が出てきてね。また話がしたい。そう思うようになったんだ」
そう言ってファウストは困ったように笑う。その雰囲気が彼の生きていた頃を彷彿とさせ、Aはまた泣きそうになった。
「母さんとママ・アマリアももうじき来る。どうして、ここに? まだ生きてるじゃないか」
「あー、それが実は……」
怒られるのを覚悟で一部始終を話すと思いの外笑われた。
「そうかそうか。まあ無理もないな。もし父さんが彼のファンだったら同じことをするよ。でも驚いただろ。まさかあのエルネスト・デラクルスが私たちの先祖だなんて」
「うん、すっごく驚いた!」
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください!! (2020年2月22日 4時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 娘であったお婆ちゃんが悲しそうにしていたのは少し切なかったですがそれでもひいお婆ちゃんは無事にお父さんとお母さんの側に行けたので良かったと思います。そして良い家族に囲まれて幸せだったと。 (2018年5月12日 10時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 私も今回のディズニー映画は漫画が本音を言ってしまえば可愛くないのでそれでもディズニーは好きなので暇潰しとして見ようと思ったんです。そしたら凄い感動したので見て良かったなと今では思います。ただ残念な事に家族の一員であるひいお婆ちゃんが亡くなっちゃって (2018年5月12日 10時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュ・アリーゼファー(プロフ) - ポチさん» 観終わったらまた観たくなる映画でした!ほのぼの系かと思いきやミステリー系で、予告と違っててはまりました! (2018年5月11日 21時) (レス) id: a7910e6428 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 初めまして。リメンバーミー9回も見たって本当ですか?凄いですね。私も一昨日見に行きました。生きていた頃のヘクターが格好良かっただけでなく、ストーリーも凄い良かったので感動しました。私ももう一回見たいなと思いました。 (2018年5月11日 20時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミラージュ・アリーゼファー | 作成日時:2018年4月8日 23時