【ツルネ】ハバタケ 〜The Lost Memory〜

9.予定外 ページ10

･




……どこの部にも入るつもりがない人を強制連行するとか、山之内くんって無邪気な顔しつつ案外最強だったりして。



｢まずは、経験者による、射技を見てもらおうかのう｣


わお、梨可がやってるとこ見られるの!? うわあ、絶対かっこいいよ！ ぜひ見たいなあ……。
あるいは、竹早くんだろうか。それとも奥の方にいる袴姿の人達かな。誰にしても、きっとかっこいいよね！


……なんて、私はどこかのんきに考えていた。


｢そこのぉ……｣




────そのときまでは。






｢……鳴宮、湊くん｣

｢…………!?｣




ーーーー




｢ちょっと、引いてみてくれんかのう｣


｢……えっ!?｣




突如名前を呼ばれて、鳴宮くんは明らかに困惑した。


｢……段取りと違う｣


梨可が呟く。

え、ちょっと。先生、何してるの？ 梨可が違うって言ってるんだけど。


｢無理です。それに俺、部員でも何でもないし……｣

｢ここにおるほとんどがそうじゃ｣

｢でも、静弥とか遼平が｣


途端に、山之内くんが｢しまった！｣って顔をする。
……何？ もしかして、最初から何か仕組まれていたの？


｢キミの射型は、グンバツじゃと聞いた。ぜひ一度、見せてくれんか？｣


そして、先生は大勢の方を向く。


｢皆も、鳴宮くんの射を見てみたいよのう｣


どこからともなく拍手がおこり、鳴宮くんは断るに断れない状況へと追い込まれる。その中でどうしても私は、拍手をする気になれなかった。
鳴宮くんに何があったのかは伝え聞いている。……彼は、もう弓道はやらないとまで言ったのだ。ショック療法にしても悪手が過ぎる。そうじゃないとしたら尚更たちが悪すぎる。

彼は強制連行されただけでしょう？ なぜやらせるの？ 来る意思も無かったのに。


強烈な疑問と憤りをおぼえた私が先生に何かしら言おうと再び前を向くと、よく日焼けした、赤みがかった髪の男子がこちらへやってきた。



……どこかで見たと思ったら、入学式の帰りにぶつかった人だ。



その怖い顔をした人が、黒い矢を1本持って鳴宮くんの横に立つ。


｢おい。弓、何キロ使ってんだ｣

｢15……ま、待てって！ 俺、やるなんて一言も……！｣

｢誰もお前の腕前なんか気にしちゃいねえよ｣

｢そうじゃないんだ｣

｢名前呼ばれておきながらうだうだ言うなよ。弓引きの端くれとして恥ずかしくねえのかよ｣


何の事を話してるのかわからないけど、鳴宮くんは困っている。さらにその男子は鳴宮くんの話を聞くことなく、引っ張って腕に矢を当てたりした。何をしたいんだ一体、と私が思っている間に着々と何かが進んでゆく。

10.どうして→←8.説明会

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

今日の弓道男子

如月七緒

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す