16.夕暮れの帰り道 (Side K) ページ18
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「……だから、ついてくんな七緒」
俺は帰り道をしつこく着いてくる従兄弟を、振り向きもせずに言った。
「えー。いーじゃん、かっちゃん。方向一緒なんだし」
「よくねえよ。今日は着いてくんなっつってんだろ。あといい加減『かっちゃん』やめろ」
「ところでさあ、かっちゃん」
「人の話聞けよ!」
つい、カッとなって怒鳴ってしまう。
……あ、この癖も直さないと、また怯えられる、よな。
「……何だよ」
「かっちゃん、あの子のこと気になってるでしょ」
「いや、誰だよ。そうやってぼかす理由がわかんねえからやめろ」
「じゃあはっきり言おっか。あの子ってのは、Aちゃんのこと」
「は? どういう事だよ」
「」
「……あ?」
いや、でも今はキレたい。余計な話振りやがって。
「何のつもりだ七緒」
「だってAちゃん泣かせちゃったこと、かっちゃん史上最高に素直に謝れたもんね〜。オレは見た!
ていうかそもそも、かっちゃんかなり前からずーっとAちゃんのこと気に掛けてたっしょ? やっぱり逆境から頑張る女の子って可愛いもんねえ、わかるわかる!」
「っせえ。もっかい言うぞ、今日はもう着いてくんな」
これ以上話していると本当にキレそうだから、俺は七緒が追いつけないように歩調を速めた。
七緒の発言を一部認めるようでかなり癪だが、それでも、今日の出来事は、かなり衝撃的だった。
確かにこれまでも俺は、よくいろんなやつに怖がられてきた。だからもう怖がられることには慣れたし、よく怖いと言われるこの顔も、変な女子が七緒のストーカー化するのに対して抑止力になっているのだから別に構わない。
でも、今日が初めてだった。
──泣かせた当の本人に、庇われたのは。
「小野木くんは悪くない」と言われたとき。
俺は混乱した。そしてとっさに、自分を責めた。なんで俺はこんなことしたんだ、なんで俺はこいつを傷つけたんだ、って。
これまでも言い過ぎて自分を責めることはあったけれど、今日のは別に言い過ぎでも何でもなくあいつがただ勝手にビビっただけだ。それでも「言い過ぎた」と最初に思ってしまったあたり、確かに何かしらはあるのだろう。
それに、ここまでひねくれた――いや自分で言うのもどうかとは思うが――自分が他人に対してあんなにも自然に謝ったなんて、驚いた。……いや、「謝らなきゃ」と自然に思えたことに驚いた、か。
こうしてみると、七緒の読みも案外外れていないんだろうな。
「……何なんだ一体」
それ以上何も考えたくなくて、俺は全力で意識を早歩きに向けた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
今日の弓道男子
如月七緒
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Mashiro Lio(プロフ) - そうなんですね!私はこの間友達に相談したら、「いっそのこと全員分書いちゃえ!」って言われました笑笑 (2019年4月13日 17時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 誰を落ちにするかは、私も悩みに悩みましてアンケートにて決まりました笑 (2019年4月12日 23時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - ありがとうございます!実は誰落ちか未定&すごく長くなりそうな予感しかしないので少し不安(笑)なのですが、そう言っていただけるととても励みになります!ご期待に添えるよう精一杯頑張ります! (2019年4月7日 10時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 続きが気になります!湊くん、静弥くん、愁くんとの関係性もまたまた気になります!更新楽しみにしています^_^ (2019年4月7日 8時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - メイリさん» ありがとうございます!こうやって小説上げるのは初めてなので至らない所もあるかとは思いますが、ちょっとずつ頑張っていこうと思います! (2019年4月2日 7時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mashiro Lio | 作者ホームページ:http
作成日時:2019年3月4日 22時