【ツルネ】ハバタケ 〜The Lost Memory〜

16.決心VSコスト ページ17

｢ええと、例えば、私が今から弓道を始めるには、弓と矢と、あとそのグローブみたいなのと、道着に袴に足袋、とたくさん買う必要があるでしょ？ そういう、いちばん最初にそれを始めるためにかけるお金が『イニシャルコスト』です｣

｢なるほど！｣

｢……で、どれくらいですか？｣


すると、竹早くんがすっと前に出てきて、説明を始めてくれた。


｢まず、最初に……｣




ーーーー




｢……くらいあれば、買えるかな｣


｢締めて……｣

おいちょっと待て。



｢それって……｣

｢それって？｣


｢うちの食費3ヶ月分が飛ぶ！｣


頭を抱えた私が、亡霊みたいな声で｢計算しなければよかった……｣なんて言うと、如月くんが目を丸くした。


｢計算速すぎっしょ！｣

｢まあ、そろばん習ってましたので……｣

｢へええ、すっげー！｣



それより……6桁、6桁って……無茶ですそんな……。


｢うち、そんなにお金ありません……。先生……あと1桁、コスト抑えられませんか……？｣


私は力無く顔を上げる。山之内くんがぎょっとして｢ぼ、亡霊……！｣って呟いたけど、今はスルーで。


｢コストを抑える、かのう｣

｢はい。用具一式で月単位のお金が飛ぶです……買えねぇです｣

｢A……でも、確かに。竹早や如月の弓は値の張るものだからもう少しグレードが低いものから始めるにしても、道着や弦の替え、下掛けの替え、あと女子は胸当てもあるし、他にも昇級審査の費用とかもあるから、1年間でその半分は少なくともかかるね｣

｢うごぁ｣


梨可が、不安そうな顔をする。別に心配かけるつもりは無かったが、うちにお金がないのは事実。親に頼めばもしかしたら払ってもらえるかもしれないが、その際はもちろん超絶長いお小言が正座1時間コースでついてくる。


｢ああうん、じゃあもういっそ中島敦の『名人伝』みたいに、弓矢いらないやつで……｣








｢弓矢いらない──マネージャーとか？｣



如月くんが、ぽつりと言った。



｢それだ!! 如月くんそれ！ それやる!!｣


すると皆の顔が、途端に輝いた。


｢ぜんっぜん大丈夫だよAちゃん!!｣


横から、ガバッとゆうちゃんが飛びつく。


｢じゃあA、部活でもよろしく｣

｢よかったですわ。わたくし、少しハラハラいたしました｣

｢すごく助かる。僕らも嬉しいよ｣


みんな、口々に歓迎の言葉をくれる。


｢じゃあ、改めまして！ 新･弓道部マネージャーの瀬戸名Aです！ よろしくお願いします！｣


背筋を伸ばして、大きく頭を下げる。
この部活なら、私でもきっとうまくやっていけそう……！

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• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

今日の弓道男子

如月七緒

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