26.作戦始動! / 朝の弓道場にて ページ28
・
私達は、他愛ない話をしながら弓道場へ向かった。
「AちゃんのLINEの名前、すっごいカッコイイ!」
「あれは何と読みますの?」
「あ〜、あれはそのまま『せとな』でいいよ」
「へえ〜!」
「もうちょっと細かく言うと、『と』の発音から『o 』が抜けて、『せtな』くらいになってるの」
「えっ、すごーい!」
ユウがキラキラと目を輝かせる。
「どうしてSとNが大文字?」
「中学時代のニックネームが由来なの」
「そうなんだ」
「そうだよ〜! いやぁ、中学時代が懐かしいなぁ……」
「ところで、Aちゃんって中学どこだったの?」
「私はね……、──って、ん?」
ふと顔を上げると、弓道場近くに人影を見つけた。
「あれって、山之内くんと如月くんじゃない?」
「あ、ほんとだ。おーい、何やってんの?」
ユウが呼びかけると、2人は振り向いて、一瞬苦い表情を浮かべた。如月くんが口を開く。
「どうしたの? 皆」
「最近、道場が早朝に掃除されているようなので」
「榊の水も替えられてるし、気になって見に来たんだ」
「何だよお前ら」
急に後ろから第三者の声が飛んできた。とっさに、ばっ、と振り向くと、
「何してんだ」
「……小野木くん」
声の主は、不審そうな顔でこっちを見る。私が何か口を開こうとした、そのとき。
「やっぱり湊だったんだね。毎朝道場の掃除をしてくれてたのは」
皆が一斉に、声の方を向いた。道場の中から聞こえてきた、その主は……
「え、竹早くん……?」
〜〜〜〜
「……静弥」
「鍵が毎朝貸し出されてるみたいだし、気になって来てみたんだよ。──早気の対策?」
「……うん」
「ねえ、湊」
静弥は一拍置いて言葉を続ける。
「なんで戻ってきたんだい」
湊は、答えない。
「僕には、聞く権利があると思うよ」
「静弥には、話したことあるよな、俺が弓を始めるきっかけになった弦音のこと。
早気になって満足な射が出来なくなったとき、あの弦音は呪いになった。逃れたいと思った。実際に逃げてもみた。でも、逃げ切れなかった。
そんなとき、また出逢えたんだ。あのとき以上に、俺の心に突き刺さる弦音に。
……そして、気づかされた」
いつになく清々しい表情で、湊は言う。
「俺は、弓が本当にどうしようもなく好きだってことに。
だから、恥もプライドも全部投げ捨てて戻ることにしたんだ、この場所に」
その笑顔は、美しく、澄み渡って。
27.朝の弓道場にて 2 / セツナ→←25.解決は単純明快 / 女子LINEにて
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
今日の弓道男子
如月七緒
52人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mashiro Lio(プロフ) - そうなんですね!私はこの間友達に相談したら、「いっそのこと全員分書いちゃえ!」って言われました笑笑 (2019年4月13日 17時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 誰を落ちにするかは、私も悩みに悩みましてアンケートにて決まりました笑 (2019年4月12日 23時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - ありがとうございます!実は誰落ちか未定&すごく長くなりそうな予感しかしないので少し不安(笑)なのですが、そう言っていただけるととても励みになります!ご期待に添えるよう精一杯頑張ります! (2019年4月7日 10時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 続きが気になります!湊くん、静弥くん、愁くんとの関係性もまたまた気になります!更新楽しみにしています^_^ (2019年4月7日 8時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - メイリさん» ありがとうございます!こうやって小説上げるのは初めてなので至らない所もあるかとは思いますが、ちょっとずつ頑張っていこうと思います! (2019年4月2日 7時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Mashiro Lio | 作者ホームページ:http
作成日時:2019年3月4日 22時