【ツルネ】ハバタケ 〜The Lost Memory〜

14.恐怖心 ページ15

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｢毎日毎日ランニングと筋トレ！ ランニングに時間制限付きとか、冬で部活終了時刻が早いときはランニングオンリーとか、もう陸上部みたいなの！

しかも顧問が厳しいから、ことあるごとに罰ゲーム！ ボール割ったときとか、ミニゲームで負けたときとか、ランニングで制限時間オーバーしたときとか、他にもたっくさんあったの！

それに、1年中ずっっっと半袖！ さすがに登下校までじゃなかったけど、昼休憩がとっても寒かったの！

あの顧問、すーぐ怒るから誰も反対できなくて、結局されるがままで……。すっごくひどかったんだからね！｣


言いたいことを大方言い切った私は、ふう、と息をつく。



それから、青ざめた。

どうしよう、言い過ぎた。引かれるかも、どうしよう……怒られませんように。怒られたらどうしよう……。

考え出すと、きりがない。嫌われるのが怖い。嫌われないように行動したいし、実際、しようとしている。なのによく、忘れて素や本音が出てしまうのだ。
私がおそるおそる皆の反応を伺うと、ところが。


｢毎日寒稽古では、風邪を引いてしまいますわ！｣

｢そうだよ！ 辛かったよね、風邪引かなかった？ Aちゃん、すごく頑張ったよ……！｣


乃愛ちゃんとゆうちゃんが、労ってくれた。


……あれ？
でも、弓道も半袖だ。寒稽古で風邪を引いても、別に普通だったりするのかな。

ゆうちゃんの袖をじっと見ると、竹早くんが口を開いた。


｢さすがに僕達も、冬まで半袖ってことはないよ。的前に立つときも長袖のインナーくらいは着られるからね｣




……さいですか。


｢……まあでも、卓球部の寒稽古で風邪を引いた人は、男子も女子もいなかったよ。最初は全員寒い寒いって言ってたけど、ランニング後は暑くなるし、慣れちゃえば意外と平気だったりする！｣


と、そこに、



｢てめえら、弓道場で何騒いでんだよ｣

｢うぴっ!?｣


思いもしない方向から、苛立ったような声が降ってきた。


待って、私、怒られるの怖いんです。
だめなの。怒られたら終わりなの。嵐が過ぎ去るまで、ただじっと耐えてなきゃいけないの。


──怖いの。


微かにだけど、手が震えて、頭が痛い。

何も考えたくない。

怖い。


｢あ？ 何だよ｣


見上げていると、声をかけられた。


｢えっと……お、おの……？｣

｢小野木だ｣

｢えっと、お、小野木くん、こ、こ、声が、あ、あの……｣

｢何が言いてえんだよ、うだうだせずにはっきり喋れ！｣



嫌だ、怖い──！



｢A!?｣



梨可の声がしたときには、私は身をすくめて、頭を庇うように蹲っていた。

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今日の弓道男子

如月七緒

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