8話 ページ9
「あと、零っていうのはですね。あなたに容姿がとてもにた俺の友人です。まあ性格は間逆ですけどね」
………あ?
あんなに容姿が似ているのに、なんで零だと疑わないのかって?
……あのな、零はまず俺に向かってこんなに親切にブランケットをかけてくれたりしない。
昔、酔って零にお世話になったことがあるが、その時だって翌朝起きたらリビングのカーペットの上に、何も被らず転がってたし。俺。
因みにその時零は、ベッドで寝ていた。
家主なのだから当たり前だが、せめてブランケットぐらいはかけてくれても良いだろ。床じゃなくてソファーに置いてくれても良いだろ!
そう思ったのを今でも覚えている。
それにそもそも、零は自分のことを"僕"とは余程のことがない限り言わないし、喋り方や性格もあんな好青年って感じじゃなかった。
むしろ間逆。
だからこいつは零じゃないだろう。
容姿が劇的に似ているだけ。
「………良いですよ、一からお話します。」
安室さんは、ニコニコ微笑んでそう言った。
………だから、この時の俺はちょっとは疑うべきで、そして気づくべきだったんだ。
ニコニコと微笑む安室さんの瞳が、まるで零がキレた時のように笑っていないことや、握りしめる両手の拳に。
そして、安室さんの口から語られる話が、想像を絶するものだということに。
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作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時