4話 ページ5
何なんだ、と聞いた裕也は真剣な目で俺を見ていた。
その目が、今音信不通の友人の目と重なって、俺は思わず「ふっ」と笑ってしまった。
「裕也の言う通りだ。他に目的がある。」
俺がそう言うと、俺の肩をがっと掴んだ。
「何が目的なんだ?俺らにとって、不利益なことか」
裕也はさっきより真剣な目で、俺を半ば睨むようにして見た。
「なわけないだろ。感情的になりすぎだ。というかここに止まっていても意味ないだろ。歩こうぜ」
俺がそう言うと止まっていた足を進め出した。
裕也は二、三度息を吐くと、「悪い」と言った。
「少し感情的になりすぎた。和希がそんなことするはずが無いのにな」
「全くだよ。仕事の疲れが溜まってるんだろ。」
「…そうかもな。で、目的は?」
ちゃっかり目的を聞こうとする裕也に苦笑いになりながらも、俺は答える。
「俺には、裕也にそっくりな友人がいるんだ。」
「……俺に?」
「ああ、容姿がそっくりとかじゃねぇよ?むしろ容姿はおまえと間逆。容姿じゃなくて、行動とか。さっきみたいにすぐに感情的になる所とか、その真剣な目とか。」
「へえ。俺に似てるな」
裕也は興味津々に俺に続きを話すように問いかけてきた。
「それで?」
「ああ。実はそいつ、警察学校時代の同期なんだ。そいつと俺入れた他のやつらも合わせた六人でよくつるんでいたんだけどさ、死.んだんだよ」
「死.んだ?」
死.んだ、そのワードを聞くと目を見開き、とても驚いた、というような表情を裕也はした。
「俺とそいつ以外の奴らは全員殉職した。しかもそいつも、いつの間にか音信普通になっているしな。結局のところ皆バラバラになっちまったってわけだ。」
「そんなことが……あったのか」
でもそれと公安に来るのに何の関係が?と言う裕也に、俺はニヤリと笑った。
「本当に話したいのはここからだ。まずはそいつの容姿だ。髪は金髪、肌は小麦色。目は青。」
俺はそう言い終わるとちらりと裕也を見た。
どうだ?
この裕也の反応で、後々俺のとる行動は変わってくる。
……1秒。
約1秒だったが、裕也の瞳がかすかに動いた。
あれは動揺している、または驚いている証拠だ。
………これは、ビンゴだ。
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作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時