18話 ページ19
(side Kazuki Ito)
安室さんから聞かされた話は、想像を絶するものだった。
初対面の方の家に上がり込み、暴れまわった挙句、寝起きに銃を向け今に至る。そんなことをしてしまったのか、俺は。
頭の中を駆け巡るのは、とてつもない罪悪感と焦る気持ちだけ。
一警察官である俺が、一般人に銃口を向けてしまった。初対面の方の家に上がり込んだ。
俺は反射的に頭を下げ、謝罪をしていた。
「申し訳ございません。安室さん、只ならぬご迷惑をおかけして、本当に本当に申し訳ございません！！」
安室さんは頬を書きながら、困ったように微笑んだ。
「いやいや、大丈夫ですよ。ご迷惑だなんてそんな。そりゃあ誰だって起きて見知らぬ場所にいたら、反射的に行動してしまいますし、全く気にしていませんよ。」
「安室さん…」
安室さんは、雰囲気から溢れている通り、格好良くて、優しくて、気遣いができて、思いやりがある、暖かい好青年だった。
あの後、頭を下げ続ける俺をよそに安室さんは出来立てホヤホヤの朝食を出してくれた。
その朝食が、これまた美味い。
昨夜は裕也と呑んだが、それが久しぶりだっただけでここ数日は徹夜続きでロクなものを口にしていなかったから、思わずご飯を三杯もおかわりしてしまった。
それにも、笑顔で応えてくれる安室さんはやっぱり本当に良い人だ。
朝食までご馳走になった俺は、もう一度安室さんに礼を言った。
「ありがとうございます、安室さん。」
「いえいえ。お口に合ったようで嬉しいです」
そして、ふと気づく。俺のスマホがない。
可笑しいなと思い、ポケットに手を突っ込む。
俺は癖でいつもスマホをポケットに入れている。
だから、きっとポケットに入っていると読んだのだがその読みは外れた。
急に何かを探し始めた俺に、安室さんは疑問を抱いた。
「伊藤さん？どうしたんですか？」
「スマホがなくて。何処かで落としてしまったんでしょうかね…」
「ああ、それなら。」
安室さんは思い出したように立ち上がり部屋の奥へ入っていくと何かを持って戻ってきた。
何か、それは俺のスマホだった。
「昨夜、和希さんをソファーに横たわらせる時、ポケットにスマホが入っていたので、割れてはいけないと思い取り出したんです。」
「そうだったんですね。」
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作者名：神風 | 作成日時：2018年5月22日 18時
