17話 ページ18
スクランブルエッグは至って簡単だ。
フライパンに油を引き、溶き卵を入れたら後は適当に混ぜるだけ。
良く熱せられたフライパンの上に卵を入れると、独特のジャーという音が鳴った。
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出来上がった和希の分の朝食をダイニングテーブルの上に置く。
こうしてみるとなんだか味気ないようにも思えるが、仕方ない。なんだって、食材がないのだ。
一つ息を吐く。
そういえば和希はどうだろうか、まだ物音がしないということは起きていないのだろうが。
今日は、ポアロのバイトと組織の仕事、それから公安への報告とやることが山積みの日。
しかもポアロのシフト今日は午前だし、早々に出て行かなくては間に合わない。
時計を見ると、もうギリギリかという時間。
というかそもそも和希も仕事があるわけで、となればもう起きていなければいけない訳だ。
これは、起こした方が良さそうだな。
俺のためにも和希のためにも。
「伊藤さん。起きてください」
和希に声をかけるが、全く起きる気配がない。
「伊藤さーん。起きてくださーい」
俺の声は空中で散り、届いたはずの声に和希は全く反応を見せなかった。
むしろ、今よりも深く寝てしまったような気もする。
「伊藤さん!起きてください!伊藤さん!」
全く起きない和希に、半ば諦めてことばを零した。
「いい加減に起きてくれよ、和希!!」
「和希」…その言葉を言ってから、しまったと思った。
俺は、安室透であり、降谷零ではないのだ。
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作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時