All of me.Vol:2 (ページ17)

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東京を満喫しようと言ったのに

案の定 2人とも時差に勝てなかった。

せめて夜は外で食事しよう。

そう約束した僕たちだったけど

結局夕方を過ぎても Aはスヤスヤ眠っている。

穏やかなひと時を

かき消すように電話を架けてきたのは

ﾕﾉﾋｮﾝ。

そっとスマホを手に部屋を出た。

エレベーターに乗って

最上階のボタンを押す。

グングン空へ向かう小さな箱から

暗くなり始めた都会の街並みを見下ろして

少し緊張している自分に気付く。

折り返した電話

ベルが鳴るより早く電話に出たﾕﾉﾋｮﾝの

怒りに満ちた静かな声が

また僕を緊張させる。

『会ったよ、ﾁｬﾝﾐﾝ』
「予想通りの彼女でしたか？」
『まぁ、半分はね』
「どういう意味ですか？」
『そういう、意味』
「話を聞いたの？」
『全てを聞いても、聞かなくても、Aの時間は戻らない』

ﾕﾉﾋｮﾝは独特な感覚を持っている。

それは時として

残酷で冷たくて、少し悲しい。

だけど結局、最後は

それに救われてきたから

僕はじっと耳を傾けて

その先にある答えをイメージする。

「自分が、何を言ってるか分かってますか」
『ああ、分かってる』

だけど、

今回ばかりは

イメージできそうもない。

「僕にとってどれだけAが大切か本当に理解してくれてますか」
『理解してるよ』
「だったらどうして…！どうして、Aの記憶を奪った張本人を僕らのマネージャーにしようなんて言えるんですか！」

それどころか

僕の行き場のない苛立ちは

逃げ道さえ見つけられず

ストレートにﾋｮﾝに向けられていく。

『ﾁｬﾝﾐﾝ、彼女は泣いて謝った』
「だからって…」
『それに、罰を受けると言った』
「当たり前だ！罰を受けるぐらいで解決する問題じゃないんだ！」

声を荒げる僕の言葉を

どんな顔で聞いているのか

ﾋｮﾝは少しの沈黙の後、

また静かに話し出した。

『言い訳の中に、あの日の彼女の行動を見つけられなかった』
「どういう…意味…ですか」
『それに、彼女は自分がAを突き落としたとは、一言も言わなかった』

ハッとした僕に気付いたのか

そうじゃないのか。

ﾕﾉﾋｮﾝは

おやすみと言って

電話を切った。