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063:手紙 YN ページ14

疲れたから先にお風呂入ってくるねって遥が言うから、俺も〜〜♪って後を追いかけようとした時

テーブルの上の真っ白な封筒が目に入った。

表には何も書かれていない。

妙な胸騒ぎを感じるのは

違和感のせいだろうか?





俺は意を決して そっと封筒を開けた。

日本語だった。

難しい漢字は読めない。

だけど、A4サイズにたった2行の手紙なんて

友達から貰うような内容じゃないはずだ。





遥に読んでもらう事も考えたけど、やめた。

明日
空港
待っています

俺が読めたこの3つの言葉だけで

どうして今俺がここにいるのか

その意味が分かる気がしたからだ。





違和感の先に待っていた答え。





手紙は自分のバッグにしまった。

あれ?ここに封筒なかった?

遥は俺にそう聞いてきたけど、知らないフリをした。





「明日は早めに空港行こう」
「うん」
「遥、約束して欲しいんだ」
「何?」
「何があっても俺を信じるって」
「…ユノ」
「絶対独りにしないから」





何かが動き出しそうな予感がする。

例えそれが遥に関係した事じゃないとしても

ネガティブな出来事は、時々伝染するから。





「Aちゃん楽しんでるかなー」
「帰ったら土産話聞いてやるかー」





俺が、食い止めないと。





***





いつもと変わりない空港。

行き交う旅行者やビジネスマンたち

だけど、どこかに答えがある。

だとしたら、きっとあの場所に違いないんだ。





遥がお土産を選んでいる間

ちょっと向こうを見て来ると告げて

俺はあの階段室のドアを開けた。





Aが倒れていたという場所。





「また会いましたね」
「ユノ氏…どうして…」





CAの女性は

俺を見て顔色を変えた。

慌ててその場から立ち去ろうとするから

思わず腕を掴んだら





「…私は…ただ、彼を返して欲しかっただけです」
「…」
「まさか、こんなに大変な事になるとは思ってなかった」
「…」
「ごめんなさい…」




まるで俺にしがみつくように

ぼろぼろと涙を流して

彼女は 何度も何度も謝ってきた。

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作成日時:2017年11月6日 23時

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