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060:知り合い? YN ページ11

まだAが俺たちのスタイリストだった頃

いつも宿泊するホテルのドレスショップを見ては言っていた。

色んなドレスを見たけど、このお店のデザインが一番素敵だって。

その時は特に興味はなかった。

だけど、遥と出逢ってからは

いつか本当に俺たちが結婚する事になるなら

絶対にこのお店のドレスをプレゼントしよう。

そう思っていた。

今日突然日本に行く事になるなんて

昨日の俺は想像もしてなかったけど

きっとこれは 多分そう、運命だ。





タクシーを降りて閉店間際の重厚な扉を開いた。

感じのいい女性が すぐに奥に通してくれて

何をどう話せばいいのか悩む間も無く

オーダードレスのカタログを見せてくれた。





正直じっくり悩む時間はない。

遥が道に迷ったりしない限り

あと5分もしたらホテルに到着するだろう。





「あの…今日は時間がないので、資料を送ってもらえますか?」





にこやかに女性が頷いた瞬間

ガラス窓の向こう フロントの方から

見た事のある人が歩いてきた。





誰だっけ…あの人。





確かに知っているのに

思い出せない。

俺はお店の女性に、後日連絡しますと告げて店を出ようとした。

入ってきた時には気付かなかった

ショウウィンドウに飾られた純白のドレス

一瞬で、そのドレスを着た遥が目に浮かぶ。





「これ!これにします!」
「これは…特別なドレスで、フランスの有名なデザイナーが…」
「後で電話します!」
「あの!お客様」





店を出てエントランスの方に目をやると

さっきの、知り合いかもしれない人が俺を見てた。

その人は笑顔で俺に近づいて





「チャンミン氏!」





確かに、俺をそう呼んだ。





違和感





またポツリと浮かんだあの言葉。





「あ…ユノ…氏?」





その人の笑顔が

だんだん真顔に変わっていく。





「ユノ氏、福岡にいらしたんですね?」
「あ、はい…」
「遠くから見たらチャンミン氏に見えてしまいました。失礼しました」
「いえ…あ、ところで何でここに?」
「実家…こっちなんです」





こうやって話しながらも

この人が誰か思い出せない。

グルグルと脳内をたくさんの知り合いが回ってるけど

やっぱり思い出せない。

だけど、知っているのは確か…





「チャンミン氏とは合流しました?」
「チャンミンは来てませんよ?」





エントランスに遥の姿が見えたから

つい遥に気をとられている間に

その人は いなくなっていた。

061:着せ替え (haruka)→←059:泣きそうになる (haruka)



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作成日時:2017年11月6日 23時

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