全部 ページ48
音葉 side
《多分、脅されてるだけだろうけど。
一応聞いておく。私達の敵になりたいのか》
《…そんな訳ないじゃないですか。
A様は、私の恩人です。
私を救い出してくれた。
…だけど、恋をしてしまいました》
…驚きだ。
衣玖乃ちゃんが恋？
Aにしか興味がないようなあの子が。
《…真昼さんです。
私って、嫉妬深いんです。
だから、彼女のA様が邪魔なんです。
A様は恩人だけど、邪魔なんです》
《うん。
え、じゃあさっさとカッターキャー？か殺せばいいじゃん。自然に。さらっと》
《…いいんですか？》
《別にいいよ》
そう答えた瞬間、Aは電池が切れた人形のように動かなくなった。
いつか、衣玖乃ちゃんが言っていたのを思い出した。
【私の能力はですね、人を操るんです！】
まさか…！
Aは、衣玖乃ちゃんに馬乗りになってナイフを振りかざした。
そして、寸でのところで止めた。
《きゃあああああぁあああッ！》
…全部、わかった。
「…流弥君と衣玖乃ちゃんはグル。
でも、Aはこうなる事は分かってたはず。
なんで…ッ！」
手紙の中に入っていた、二枚目の紙。
『私達を絶対に連れて行くな』…。
だから…？
「…ダメだ。早く行かないと、Aが…」
「音葉さん！」
手紙を持ってAがいるところに行こうとした時、衣玖乃ちゃんに呼び止められた。
「…ごめんなさい…ごめんなさい…ッ」
「…っ、泣くな！謝るなッ！
謝るくらいならAに謝れ！」
『ごめんなさい』？
私に謝って何になるんだよ！
Aのところに、早く…！
下に降りて、走った。
A、またホラゲーやろうよ。
Aの叫んでるの、面白いからさ。
ごめん、信じてあげられなくて。
Aは、いつも私に謝るな、なんて言ってるけど。
ごめん、無理だ。
「ごめん、A…ッ」
少し走ると、指定された場所に着いた。
でっかい、ホールみたいな。
皆も、次々と着いてきた。
皆を待ちきれなくて、一足先にホールに入った。
壁も床も、一面の赤。
でも、ペンキやカーペットとは違う。赤黒い。
…血。
点々と、奥の部屋に続いていた。
でも、流れてる血が多すぎる。
これだと、一、二回は死んでいるだろう。
…A？
違う、違うよね、敵のだよね。
焦る気持ちのまま、私は奥の部屋に足を踏み入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年1月26日 18時
