そんなのあるのね ページ27
…ほら、また言った。
“人なんて、そんなもん”？
お前は、人を下に見て、自分が上だと錯覚しているだけだ。
本当は、誰よりも下で、下劣な奴なのに。
…そうかもね、もう一人の自分が言うんだからそうなのかもしれない。
でも、下劣だろうが下だろうが、自分は自分だ。
それ以外の何者でもない。
だから、いつだって誰かと手を取り合って、前を向いて生きていかなくちゃいけない。
人間は、そんな冷酷で、弱くて、素敵で、綺麗な生き物なんだよ。
涙は、いつの間にか止まっていた。
涙が流れすぎて、パーカーが少し濡れていた。
…まあ、もうそろそろ行こうかな。
ファミレスに戻ると、何故か数人が泣いていた。
あれ、これ戻るタイミング間違えたかな。
「A！」
「うわ、びっくりした」
「この子、私達とすっごい似てる！」
「…あっ、そうですか」
「なんで敬語！？」
「他人がどんな風に生きてきたか、これからどう生きるのか。
そんなのさ、これから変えれるはずがない。
だからどうでもいい」
以上、と言葉をしめて席に座る。
彼女が膝に乗ってきた。
えへへ、とちょっとはにかんでいる。
無意識に彼女の頭に手を乗せ、撫でた。
「〜♪でもどうしたんですか、A様」
「…理由なんてないよ」
気持ちよさそうに、ずっと撫でられている。
「…夜野ちゃん、身長何センチ？」
「衣玖乃とお呼びください！１５３�僂任后�」
「あっ、私より小さい！やった！」
「そういや、キスするとき丁度いい高さというのがあってだな。
１２センチ差だそうだ」
なんかの少女マンガに書いてあった。
ふーん、とか思いながら見てた。
「はっ、A様は！？」
「１６５」
「丁度じゃないですか！しましょう！」
「嫌だよ、女の子となんて」
素っ気無く答えても、皆は楽しそうにしてる。
…夜野ちゃんは、そんなに鋭くなさそうだな。
どちらかというと鈍そ…。
「A様！先ほど、泣いてましたか？」
前言撤回。滅茶滅茶鋭い。
えー、なんべく目元とか赤く見えないようにしたんだけどなー。
「泣いてないよ」
「なら、何でさっき外出たんですか？
それと、路地裏にいましたよね？」
「なんで衣玖乃ちゃんそこまで知ってるの」
怖い。なんでいた場所までわかるの。
「ただ本屋さん近くにあったから来月何出るかなーとかそういうの調べてきただけだよ」
「絶っ対違います！」
だってA様は、と言って彼女はこう続けた。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年1月26日 18時
