伝えたくて、 ページ21
「本当に、離して…」
今、温もりに触れてしまったら、君から離れたくなくなるから。
…よかった、離してくれっ、
「ん、ん！？」
っ、てないね！
いや、離してくれたけど離してくれない！
意味分かんないねごめん！
えっと、キスされて…るんだね。
…長い長い長い長い。
深い方のキ…深い方のキス！？
普通の(？)キスなら耐性ついてきたから赤面しなくはなったけれど。
かああっ、と理解した途端赤くなる顔。
ってか皆どこ行って…いねえ！！
練習したの！？ねえ！！
…まってこれ何気に恥ずかしい。
涙がじわ、と滲んできた。
顔はまだ熱い。
ふ、と離れていく真昼。
真昼の顔も、赤かった。
…なんで、急にしたのか。
すぐにわかった。
“言葉”では、私は戻ってこない。
だから、“行動”で伝えた。
でも、これは。
「反則ッ…」
赤い顔を見られないようにするために真昼を抱きしめる。
「Aは、独りじゃない」
「うん…」
「Aのこと、ずっと好きだ」
「…うん」
「だから、ずっと俺の側にいてください」
「う…ん？」
…あれ、これはプロポーズか？
プロポーズなのか？
ぎゅうぅ…と真昼が抱きしめる力が強くなる。
「その、ダメ…かな…」
…そんなん、決まってるじゃんか。
「…全っ然ダメじゃない。
むしろこっちからお願いします」
…これは、言ってる途中から恥ずかしくなるやつだ。
…これは、伝えておこう。
「…ありがとう、真昼」
…そういえば、一つだけ疑問なんだよな。
真昼と音葉が笑い合ってる幻を見たとき、どこかが痛くなった。
…これ、なんて言うんだろう。
少女マンガでは嫉妬というらしい。
…私がそういうのをするのだろうか。
嫉妬…なのかな…？
…聞いてみるか。音葉に。
「じゃ、帰ろうか、真昼」
「ふっふっふ、いやー、初々し」
「うわああああ！？」
「会話遮らないで！？」
うっわ、びっくりした！
うっわ！
「…ってか止血しなきゃダメじゃない？それ」
「あっ」
まだ流れてるんだね。
「舐めとけば治るからいいよ」
「治んないから！
包帯持ってきてるから巻きなさい！」
ぺろ、と舐めたら舐めんな！って言われた。
包帯投げられたので受け取って、包帯を巻く。
「…上手く巻けねえ…」
「ほら、やるから手出して」
真昼にやってもらった。
…綺麗だなー、ってか器用だね。
私は裁縫できるけどこういうのできない。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年1月26日 18時
