ねえ、 ページ17
音葉 side
手紙には、便箋一枚。ただそれだけ。
震える手で紙を持って文字を目で追っていく。
こう書かれていた。
《翠如音葉へ
これを貴方が読んでいるということは、Aが連れ去られているということ。
私達にね。
返してほしかったら、明後日の午後八時に地図の記す場所に来なさい。
時間より早く来ても遅く来てもダメ。
即Aを殺すわ。
命が尽きるまで、心臓に剣を突き刺して…。
ああ、人数については指定しない。
何人でもいいわ。
でも、その分人が死ぬことになるわよ。
よく考えなさい。
家族一同》
「…何で…」
無意識に、涙が頬を伝っていた。
涙が零れ落ちて、手や手紙を濡らしていた。
ポタッ、ポタッ、と未だ止まることを知らない雫が落ちていく。
その時、真昼君が持っていた桜哉君が入っている箱がボンッ、と音を立てて壊れた。
煙の中から出てきたのは桜哉君。
「え、何で…！？」
「…え、まさか…！」
Aのこれが壊れる時は、Aが解除するか。
Aが気絶又は、死ぬか。
「A、A…まって、行かないでよ…」
私を置いてかないで。
私を助けてよ。
まだ、私は、Aのことちゃんと助けれてない。
Aに伝えてないことあるのに。
…でも、今行ったらAが死んじゃう…。
「あー…シリアスの時にごめん！
まずさ、取り敢えず家に戻って状況整理して、作戦立てようぜ。
じゃねーと助けれるもんも助けらんねーよ！」
流弥君がそう言った。
「真昼君だってさ、Aを助けたいのはわかるよ？
音葉ちゃんも助けたいんだろ？
それは皆同じだ」
「僕もー！
Aおねーちゃんとまた遊びたいもん！」
「お、ガキ、お前もたまにはいいこというな！
じゃ、まずは帰って考えようぜ！」
「…うん、そうだね！また遊びたいもんね！」
無事、Aを取り返した後、ホラゲーやらせるんだ！
それで、皆で笑って、Aと真昼君の初々しいカップル眺めて…。
…やりたい事が尽きないや。
ねえ、A。
Aはさ、人の言うことすることまず第一に疑うって言ってたよね。
でもさ、これみても皆のこと疑える？
皆、Aの為に必死に考えてくれてるよ。
Aの為に一生懸命頑張ってるよ。
ね、A。
Aが帰ってきたら、私の言ってなかったこと話すね。
それから、沢山遊ぼう。
いっぱい、話そう。
だから、待ってて。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年1月26日 18時
