【サーヴァンプ】なんでだろ…。【トリップ】

何度も。 ページ36

「何度も何度も、助けてほしかった。

手を差し伸べてほしかった。

でも、そんな人いるわけないから自分で努力した。

勉強も、自分を守るための術も。

でも、“天才”とか、“秀才”とか言われた。

私の努力をそんな一言で片付けられるのが嫌だった。

生まれ持った力だと言われるのが嫌だった。

でも、それをしても何も変われないし変わらない。

変われなかった。変わらなかった。

何をしてもムダなのかと思った。

何も信じられなかった。

だから、性格も変えた。

話し方も変えた。

こうしたら、あの時と少しは変わるから」



“さすが、秀才は違うな”
“よっ、天才!次の模試も一位だろ?”



「ただ、愛されたかった。

誰かに、大切だと言われたかった。

誰かの“特別”でいたかった。

愛があれば、って何度も思った。

普通ならどんなに良かったか。

…きっと、楽しかったんだろうな」



“あはははっ!一人ぼっち!惨めだね!”
“お前は望むこと自体が罪なんだよ”



「…嘘をついて、ひたすら隠した。

弱い自分を他の人に見せたら、馬鹿にされる。

笑われる。

…殴られたり、蹴られたりした傷は、もう治ったはずなのに、消えないんだ。

ずっと、あの光景がフラッシュバックする。

…あれは、親とか、姉ちゃんとかからの一種の愛なのかな」


…だとしたら、かなり歪んでるな。


「…俺が、好きでいる。

ずっと、Aを愛してる」

「…嫌いになったら遠慮せずに離れていってね」

「そんな事は無いから、安心しろ」

「…はは、かっこいいなあ…」


未だに流れている涙は、まだまだ止まらなそうだ。


「…うーんと、服汚しちゃってごめんね。

うちで洗って返しておくよ。

…まあ、取り敢えず目洗ってくる」

「わかった！」


目が痛い。

擦ったからか？まあいいや。


目を洗って、部屋に戻った。

目元が少し赤いけど…まあいいだろ。


「さて、リビング戻りますか？」

「そうだな」

「次は何やるんだろうな。

ホラゲー以外だといいけど」

「はは、怖いからか？」

「いや、最近のホラゲー怖くないか？

全部怖いよ。元々ホラー苦手なのに」

「ゾンビは？」

「それも無理。そういうのは全部無理」


ガチャパタン


「えっ、どうしたんだ！？」

「…お邪魔しました」


何でこんなに間が悪いんだろうか。

キスしてたからね。

流弥はいなかった。


「…もう少し話そうか」

「わ、わかった」

デジャビュ→←…どうしたらいいのか。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す