検索窓
今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:5,383 hit

…どうしたらいいのか。 ページ35

「…んな事…あっ、あれか…」

「思い出したか?」

「…そうだね、思い出した」

「…でも、なんでだろうな」


何で、姉ちゃんと母さんがあんなに変わったんだろうか。


「…姉ちゃんも、母さんも、あんなじゃなかったんだけどな。

少なくとも、あっちで死んだ時までは優しかった。

暴力も振るわなかったし。

あ、でも浮気はしてた」


浮気現場を偶然見ちゃったんだが、黙っていればいいかなと思ったし。

痛い思いしないなら別にそれを使って脅さなくてもいいかなって。


「…何でだよ…ッ」


姉ちゃんよりどんなに出来なくても、母さんは決して出来損ないなんて言わなかった。

一家の恥だなんて、言わなかった。

平等に接してくれた。

姉ちゃんも、父さんからの暴力がひどくても、頑張ろうねって笑ってくれた。


…前から、誰かに抱きしめられた。

多分真昼だ。

ってか真昼じゃなかったらむしろ誰だよ。

ホラーだよ。


ぎゅ、と抱きしめる力を少し強めた。


「…ん、っと…どうしたのかな…?」

「泣いてもいいから。我慢しなくていいから」

「嫌だよ」

「…何でだよ」

「ただ、迷惑なだけじゃないか。面倒だしさ」

「今のは明らかに後者が本音だろ」

「うん、正解」


前から抱きしめられたまま、とん、とん、と子供をあやすように背中を優しく叩かれる。


「…ちゃんと、全部聞くから」

「…ん、わかった」


手を真昼の背中に回す。

今まで、誰かに抱きしめられるということがなかったので、どこかぎこちなくなる。

そして、きゅ、と軽く力を入れる。



「…母さんは、すっごい優しかった。

姉ちゃんよりも出来ない私を見捨てなかった。

何でも根気よく、教えてくれた。

でも、毎回毎回、出来るんだ、とか言われた。

それが重くて、辛くて、苦しかった。

そんなに期待されても困るんだ、って言いたかった。

でも、言ったら何があるか怖くて言えなかった。


…姉ちゃんも、優しかった。

母さん似で、可愛くて、綺麗だった。

何でも出来て、誰からも好かれてた。

なのに、私を下に見たりしなかった。

父さんからの暴力がひどくても、笑ってた。

笑ってないと、私が不安になるからって。

施設の時も、姉ちゃんが調べてくれて、手を握って、不安にならないようにしてくれた。

私は、ただ後をついていくだけだった」



途中から涙が出てきて、嗚咽が混じってしまったが、真昼は静かに聞いてくれた。

何度も。→←記憶



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リリムゥ - ありがとうございます!頑張ります! (2018年1月24日 16時) (レス) id: 55dd47db07 (このIDを非表示/違反報告)
さら - いえいえ!大丈夫ですよ!更新楽しみにしてます!寒くなってきたので体調には気を付けて下さい! (2018年1月23日 20時) (レス) id: 6858dbe52c (このIDを非表示/違反報告)
リリムゥ - すみません、間違えました!真昼オチの作品作ってみました!でした。すみません。 (2018年1月22日 17時) (レス) id: 55dd47db07 (このIDを非表示/違反報告)
リリムゥ - さらさん» コメントありがとうございます!僕もサーヴァンプ大好きで、特に真昼が好きなので、真昼のオチ作ってみました!ありがとうございます!更新頑張ります! (2018年1月22日 17時) (レス) id: 55dd47db07 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 真昼オチ最高です!サーヴァンプ大好きです!特に真昼とリヒトが大好きですね!更新頑張って下さい!応援してます! (2018年1月21日 20時) (レス) id: 6858dbe52c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リリムゥ | 作成日時:2018年1月9日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。