【サーヴァンプ】なんでだろ…。【トリップ】

愛されたかった。 ページ27

「…というわけだよ」

「で、でもッ！」

「…ねえ、母さん、姉ちゃん」

「…何よ」

「…愛されたかっただけだって言ったらどうする？」

「は？」

「ただ、どんな愛され方でも良かったんだ。

殴られても、蹴られても、暴言浴びさせられてもさ。

でもさ、それを誰に言えるわけでもなく１０年くらい過ぎちゃった」


本当に、愛があればそれだけで良かったんだ。


「こんなさ、友達の親と浮気してるような親でもね？」

「…え…まさか…」

「何でそれを知って…ッ」

「そうだよ、そのまさか。

母さんと音葉のお父さんが浮気してる。

んで、父さんと音葉の母さんが浮気。

…どんだけ縁があんだよ、って話だよね！」

「…え、何それ…」


へら、と笑う。


「…ただ、愛されてさ。

楽しいなあ、って毎日思えて。

音葉と沢山遊んで。

…変われない今日が、ものすごく嫌だった。

いつもと全く変わらない今日が早く終わって欲しかった。

…辛いって、嫌だって誰かに言いたかった。

でも、それをしたって迷惑なだけだからさ」


変わらないって事は、良いことかもしれない。

でも、とても嫌な事かもしれない。


「…私も、他の人が生きててもどうでも良かった。

私達は、命とか人とか、あらゆるものに嫌われている。

そういう風に考えてたけどさ」

「…けど、なんだよッ！」

「こういう家に生まれたのが一番の不幸だな、って」


何もいらないからさ。愛が欲しかった。


「…はー…。そういうところだよ、姉ちゃん」

「ッ！」

「すーぐ僕の嘘に引っかかる。

そうして逆上して背中からナイフで刺そうとして…。

分かり易すぎるよ？」


僕より頭良いのにねー？って笑ったら蹴ってきた。


「私より出来ないくせにッ！

出来損ないのくせにッ！！

馬鹿は馬鹿らしく大人しくしてればいいのよ！

なんなの、いっつも私より出来ないのに、私より目立って！

あんたより私の方が可愛くて頭良いのにッ！」

「…くくっ…」

「何笑ってんのよッ！」

「…いやぁ？

姉ちゃんさ、アイドルだよね？」

「それが何よッ！

でも、あんたらは私が殺すからいいのよッ！」

「…これがネット中継されてるのにー？」

「「「…え…？」」」


あはは、全員面白い顔してるね。


「母さんは、タレント。

音葉のお父さんは世界的にも有名な医者。

音葉のお母さんは人望がある政治家。

これらがネット中継されてるってことは…。

もうわかるよね…？」


そう言うと、四人は顔を青くした。

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