【サーヴァンプ】なんでだろ…。【トリップ】

シロノ ページ2

A side


…痛みが引いてきた。

血も…うん。もうあんま出てねえな。


…盾さん、倒れちまったのか。

なら、仇ぐらい取らねえとな。


起き上がって、こちらに背中を向けている吊戯さんに斬りかかる。


「…え…っ！？」


だが、ギリギリでかわされた。


「…あーあ、かわされちまったかー。

音葉、次行くぞ」

「はーいっ！

あ、でも後で話聞くからねー？」

「…めんど…」


はー…とため息をついて、刀を再び握る。

漆黒の刀身が気に入って思わず買ってしまった。


《…血塗レノ悪魔(ブラッディデビル)…か》


その呼び名は…やめてほしい。


「…その呼び名で呼ぶな。

…化け物、とかならまだいいが」

「集中してよー！来てるよー？」

「…わかったよ」


この刀を買った時に、店主に説明された。

この刀は、持ち主に大きく左右される。

持ち主が強くなりたい、と思えば刀も努力をする。

持ち主が怒ると刀も怒る。

持ち主が思ったことに刀は反応するらしい。

最初は、んなわけあるかと思ったがどうやら本当のことっぽいな。


「…シロノ。僕は強くなりたい。

全てを守れるほどに」


刀が少しだけ反応したように感じた。

シロノとは、刀の名前だ。

何か呼び名があったらいいかな的に思って適当につけた。


「【高く飛びたいのは、君に近づきたいから

いつか、君に想いが届く日を願って…】」


触れたら即捕縛できる輪を出して、投げる。


…が、弾かれた。


「はああ！？意味わっかんね！

触れたら即捕縛できるのに…！」

「…Aちゃんが教えてくれたんだよー？

物で打ち返したら弾けるって」

「…チッ、面倒な設定作ってくれたな…」


弾かれた輪は私と音葉のすぐ横を通っていく。


「…音葉、アレやるぞ」

「はーい、りょーかいっ！」


これやってダメだったら打つ手ねえぞ…。


「「【地下の小さな部屋で

化け物が生まれました

その一人の化け物は

屋敷にいる者を、全員

壊してしまいましたとさ！】」」

「【さあ、踊り狂おうか！】」

「【赤に染まっていなくなれ！】」


赤黒い、様々な形をした物が出てきた。


「…え、何これ…」

「言ってなかったからね！

いや〜、楽しいねっ！」

「…どこがだ。

一回お前に撃たれたの痛かったぞ…」

「ごめんごめんっ！」


そして、最後に。


「「【さよなら、愛しき人よ】」」


運が良ければこれで倒せるが…。

土煙でほとんど見えない…。

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