【サーヴァンプ】なにゆえ…。【逆トリップ】 (ページ44)

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夕食。その後。ページ44

「姉ちゃんの事引き合いに出して、何が面白いんだよ！

姉ちゃんは好きだけど、もう会えないんだよ！

どこに行ったかわかんないけど、わざわざ蒸し返すなよ！」

「…え、あ…ごめ…ふざけすぎた…」

「…だとしても、人には地雷ってもんがあんだよ。

…もう、やめろよ？」

「…うん、ごめんね」

「…まあ、別にいいか。

もうそろそろ料理出来るし片付けとけよ」

「はーい！」

…はあ…。久々に怒鳴ったな。

…私は、姉ちゃんと母さんの事になると我を忘れるらしい。

キッチンに戻ると、真昼が心配そうにしていた。

「だ、大丈夫か？なんか怒鳴ってたけど…」

「…大丈夫だよ。ごめんね。…出来た？」

「あ、ああ。出来たぞ」

「…じゃ、運ぼうか。

真昼、オムライス運んでくれるかな」

「…分かった」

あの間は多分、色々聞きたいことはあるけど今じゃなくていいか、みたいな感じかな。

…その方がありがたい。

ってか、真昼は他人事に首突っ込むのが好きらしいね。

首突っ込んだって、良いことなんかないのに。

面倒なことだけなのにね。

運び終わり、皆席に着いた。

各自いただきますと言って食べ始めた。

「…おいしいね、ありがとう」

「本当だね！美味しい！」

…出るはずもない涙が出そうだ。

何でだかはわかんないけど。

…皆と会ってから、分からないことが増えたな。

「…ごちそうさまでした。

真昼、ごめんね。残しちゃって。あんまりお腹減ってなかった。

音葉、食べちゃっていいよ」

「え、いいの？ありがとう！」

オムライスを半分程残し、部屋に戻った。

ドアを閉めて、壁にもたれかかる。

…らしくないな。

「泣くなんて…っ」

たしか、母さんと姉ちゃんと私で作った始めの料理がオムライスだったはず。

遠い昔すぎてぼんやりとしか覚えてないけど。

記憶力皆無だから、断片的にしか覚えてないけど。

母さんが簡単だから、と言って私達と一緒にオムライスを作った。

少し不格好だったけれど、とても美味しくて。

笑いあって、美味しいねって、皆で笑って。

あの頃は、父さんも優しかった。

家族皆でおいしいね、って笑って。

珍しくお代わりして。

食べ終わった後、家族皆で、変な話をした。

『生きててよかったね』

そんな事を言い合って、笑いあって。

その頃は、何でそんな当たり前のことを、と思っていたけど。

「生きてていい事なんて、何一つないっ…！」

この世界は、何で出来ているんだろう。