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『喧嘩してないよ。でも、別れたいと思ってる』
「…どうして？」
『例えば、うーん。…もし浮所に彼女がいるとするじゃん？』
「"もし"とか辛いけどね」
『その彼女がさ、寝取られたら、しかも、自分は我慢しててまだ何もしてなくて、』
「えっと、Aが誰かと寝たの？それとも那須が…」
『だから例えばの話だよ！』
いけないと思った。
つい感情的になってしまうのは、雄登に後ろめたいことをしたのを認めたくないからなのか。
往生際の悪い。
「…その人の価値観にもよると思うけど、普通はなんとも思ってない人と関係持てないんじゃない？俺はガキだからよくわかんないし、そんな状況にも、もちろんなったことないから」
『好きってこと？』
「…そうかな」
『…好きなんだ』
雄登にはしてほしくなかったことを、作間くんがしてくれて嬉しく感じた。
なぜなのかはわからない。
作間くんのことが好きということにして全部片付けてしまいたい。
でもそれは問題だ。
雄登の好きなところはたくさん言えるけれど、作間くんの好きなところは言えないだろう。
「でもね、俺は仕方ないと思う」
『仕方ないって…何が」
「彼女が俺の他に好きな人が出来ても、それで彼女が悪いことにはならない気がする。」
恋心について語るなんて、浮所らしくなくて違和感がある。
私が語らせてるんだけど。
「好きになった人に彼氏や彼女がいたり、自分にいたりする時もあるし、リスク背負ってまで本気でする恋なら簡単にできるものじゃないし不可抗力だから、悪くないと思う。浮気とか二股のなにが悪いってさ、はっきりさせないことで周りの人に余計な想いをさせるところなんじゃない」
手に持っていた紙コップを机の上に置いた。
悪くないなんて言われたら、どうしようもなく安心してしまって目頭が熱くなった。
『そっか。ありがと』
「…だからAは悪くないし、俺も悪くない」
浮所の声が妙に震えていて、もう「例えばの話でしょ」とは言う気になれなかった。
「…入ってもいいですか」
「作間くん！どーぞー！」
開いたドアの方を見ると、作間くんとばっちり目が合ってしまった。
私だけじゃなくて彼もそうだ。
ため息をつきながら、未熟な恋に悩んでいる。
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Atena(プロフ) - 主人公の心の揺れが最後まで見られて面白かったです！ (2020年4月25日 0時) (
レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - お疲れさまでした！最後まで那須くんかっこよかったです！ (2018年12月14日 1時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
えるにめ - 凄く面白いです。さっくんと那須くんメインなとこも凄く嬉しいです！ (2018年11月19日 17時) (レス) id: fa89af2adc (このIDを非表示/違反報告)
ねり - すごくおもしろいです！！ (2018年11月17日 15時) (レス) id: b337ad9043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プチラメ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/Petit_lame
作成日時：2018年10月25日 19時
