16 ページ18
.
後輩、それも手強い恋敵。
俺はどうしてもAを傷つけてしまうのか。
「雄登、聞いてる？」
「ごめん」
「シャワー熱かったんだけど」
「…ごめん」
「なに、謝ってばっかり」
巻いていたバスタオルを床に捨ててから、俺を抱きかかえてベッドに転がる。
.
ここは優斗先輩の彼女の家。
初めて来たのは去年の夏、そこから月に1回は呼ばれている。
きっかけは生徒会の何人かで優斗先輩の家に行った時。
帰宅方向がたまたま同じだった彼女さんと仲良くなり、家に寄ったら迫られて、それがマウンティングだとわかった時には遅かった。
彼女はなぜか俺を求める。
一度だけ、俺のことが好きなの？と尋ねたことがある。
「そんなことない」
そう言われた時のショックは忘れられない。
好きじゃないくせに毎回ゴムは嫌がるし、激しくしろと懇願される。
いわゆる"フレンド"なのかとも思うが、その割にはあまりにも荷が重い。
.
「この前堕ろしたばっかりなんでしょ」
「もう診察終わったから関係ない」
「…いい加減にしろよ」
初めてがこの人だなんて、汚点だ。
どんなに格好悪くたって好きな人に捧げたいものだったのに。
「帰る」
「なんで？」
「そんな気分にならない」
「…じゃーね」
シーツに包まって拗ねる女を横目に、服を着てさっさと部屋を出た。
向こうの強要とはいえ一度妊娠させてしまったのだから責任を感じているのに、なぜあの女はそこまで平気な顔をしていられるのだろうか。
Aを抱きたいけれど、こんな風になった俺にはその資格もない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 453人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Atena(プロフ) - 主人公の心の揺れが最後まで見られて面白かったです！ (2020年4月25日 0時) (
レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - お疲れさまでした！最後まで那須くんかっこよかったです！ (2018年12月14日 1時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
えるにめ - 凄く面白いです。さっくんと那須くんメインなとこも凄く嬉しいです！ (2018年11月19日 17時) (レス) id: fa89af2adc (このIDを非表示/違反報告)
ねり - すごくおもしろいです！！ (2018年11月17日 15時) (レス) id: b337ad9043 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：プチラメ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/Petit_lame
作成日時：2018年10月25日 19時
