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『おじゃまします』
「ごめんね、今日に限って誰もいなくて」
『ううん』
次にここに来る機会があったら少し気まずいなとは思った。
高級住宅街の中に佇む駅のひとつ隣の駅で降りてから徒歩で10分程度。
高層マンションが立ち並ぶ港南や赤羽の団地は時間帯によってはゴーストタウンのようで少しだけ怖く感じてしまう。
だから彼が普通のマンションの入り口に向かったときは とても安心した。
「あんまり綺麗じゃないけど」
その言葉と同時に彼の部屋のドアが開いて、大好きな香りに包まれた。
温度があって、ほんのり洗剤の匂いがしたあとに、グレープフルーツの爽快な感じがして、甘ったるくならない。
確かに机の上にはプリントや参考書が重なっているけれど、十分に綺麗だと思った。
「お茶持ってくる。えっと、たしか紅茶とほうじ茶と烏龍茶があるけど」
『烏龍茶がいいな』
「おっけ」
ドアが閉まったので、ここで彼氏の部屋に来た時の恒例行事とやらをしてみる。
こっそりベッドの下を覗いてみて、本棚も見てみるけれど、それらしきものがない。
橋本先輩は「そういう本はベッドの下か本棚に隠すでしょ！」と自信満々に宣言していたのだが。
今時スマホで済ませる時代か。
「おまたせ」
タイミングよく雄登が戻ってきた。
『ありがとう』
本棚を見ていた私の方に近づく。
「なんかあった？」
『…どれも難しそう』
「経営工学の話なんかは、面白いよ」
『ほへぇ』
どれもこれもタイトルだけでさっぱりだ。
将来のことなんか考えていないし、考える資格もないような成績ばかり。
「リビングでスポーツゲームするか、それとも映画のDVD見ちゃう？スマホでもいいけどアクションなら大画面の方がいいよなぁ」
『バーチャルのテニスやりたい』
「リビング行こうか」
小学生のころ、浮所の家に遊びに行った時みたいだ。
テレビゲームだとかすごろくだとか、そういうことをして盛り上がるのが楽しかった。
今でも覚えている。
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Atena(プロフ) - 主人公の心の揺れが最後まで見られて面白かったです！ (2020年4月25日 0時) (
レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - お疲れさまでした！最後まで那須くんかっこよかったです！ (2018年12月14日 1時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
えるにめ - 凄く面白いです。さっくんと那須くんメインなとこも凄く嬉しいです！ (2018年11月19日 17時) (レス) id: fa89af2adc (このIDを非表示/違反報告)
ねり - すごくおもしろいです！！ (2018年11月17日 15時) (レス) id: b337ad9043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プチラメ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/Petit_lame
作成日時：2018年10月25日 19時
