好きじゃないよ、絶対 (ページ6)

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そしてついに来てしまった席替え当日。
私はいつもより早めに檜山くんを待ち伏せするように登校した。
自転車でゆっくり登校したい私がこんなに早く急いで来るのはかなり珍しいことで、教室の鍵を取りに職員室に行った時、担任には驚かれた。
いつもなら学級委員の檜山くんが鍵を取りに来るのだから。
教室の鍵を手に入れた私は教室に向かい、授業の準備を済ませると檜山くん待機の時間に入った。
集合時間の1時間も前だ。
暇以外に言葉が出ないだろう。
ただ私は檜山くんになんと言って謝ろうかを考えていたから時間が早く感じられた。
昨日檜山くんが休んでいたのだから今日絶対に来るという確信は持てなかったが、今日謝らないともう機会がない。

檜山くんが来た。

今日も目を合わせることなく、静かに教科書や筆箱などを机の中にしまい始めた。

『檜山くん、おはよう。』
「うん。」

『檜山くんあのね、』
「あのさ、言いにくいんだけどもう俺にクラスで話しかけないで。」
『でも、謝りたくて。』
「は？」
『檜山くんのこと、巻き込んでごめん。』
「西野が言い出したんじゃないんでしょ、別に気にしてない。」
『なら、よかった。』
「もういい？先生に呼ばれてるから行きたいんだけど。」
『うん、ありがとう。』
「もう、人前では話しかけないで。」
『分かった、ごめんね。』

目は合わないまま、話しかけるなと言われた。

今まで友達がいた経験もケンカをした経験もなかったから、話しかけるななんて言われたことなかった。
でも、あんなに優しい檜山くんが私に話しかけるなと言ったということは相当怒っている。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
謝れただけでもよかった。
謝れなくて後悔し続けるよりも謝って拒絶される方がよっぽど良かった。