赤い子兎、偵察騎士_ ページ6
森を出て、街が見えてきた時だった。
「ねぇ___あんたたち、待ちなさーいっ!!!!」
そう叫ぶ声が聞こえ、足を止める。
直後、赤いカチューシャをつけている少女が左から飛び出してきて、なんとか着地する。
「アンバー…? あ、任務か。」
「そうよ! って、後ろの人たち…えっと、風神のご加護があらんことを。」
騎士団にはそういう決まりがあるのだ。
「わたしはアンバー、西風騎士団の偵察騎士よ。」
「西風騎士団って…ミラージュと同じところか!」
ミラージュはうなずいた。
「ところでミラージュ、後ろの人達は?」
「金髪が蛍、旅人。白いのがパイモン。」
それに蛍がつけたす。
「非常食。」
「全然違う!!!」
蛍とパイモンが話している間に、ミラージュは怪しむアンバーに向かって言った。
「大丈夫、怪しい者じゃないから。」
「でもねぇ…」
なお怪しむアンバーにミラージュ「だいじょぶだいじょぶ!」と肩をトントンたたいた。
そして、旅人に向き直る。
「さっ、さっさとモンド城内に行こう。さっきも見たでしょ、あの龍。あれに襲われたら一たまりもない。」
ミラージュの提案にパイモンは「そういえば」と言った。
「あれ、ミラージュもアンバーも騎士じゃないのか? 任務は?」
ミラージュはなんともないという風に言った。
「私はもう終わらせたけど。…アンバーは?」
ミラージュがアンバーに目線を流す。
「わたしはまだ終わってないけど…でも安心して、任務を行いながらでも、あんたたちの身を守ることくらいは出来るから」
「お、頼もしいな!」
パイモンが笑った。
アンバーは「えへへ」と笑ってから、すぐにまじめな表情になった。
「それに…怪しい者を放っておくわけにもいけないからね!」
それに、旅人が反論した。
「その言い方は、客人に失礼だと思う。」
アンバーはハッとしたらしい。
「謝るよ、えっと…見知らぬ、その……尊敬できる旅人さん。」
「ぎこちない!」
アンバーは必死に騎士団ガイドの教えを思い出しながら言ったが、パイモンに突っこまれた様子。
「『騎士団ガイド』で決められた言葉に不満でもあるの!?」
「あぁ、そういえば、そういうのあったっけ。」
「ミラージュは自由すぎなのよ!」
そう、ミラージュはほとんど騎士団ガイドを守っていない。
結果良ければすべてよし、これがミラージュのやり方なのだ。
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作者名:おいしいじゃがいも | 作成日時:2023年4月5日 20時