天空 ページ37
「それで、天空って一体……」
パイモンが首をかしげる。
「モンドの至宝、風神バルバトスがかつて使っていたライアーだよ。」
「風神バルバトス様は風の神だけでなく、学芸と音楽の神様でもある。
後世に数え切れないほどの歌と祭礼を残し、昔の人々に豊かな生活を享受した。」
ミラージュがウェンティにつけたす。
ウェンティは満足そうにうなずいた。
「そう、それでその天空のライアーがあれば、ボクはトワリンを悪夢から目覚めさせられる。」
「本当にそれで風魔龍の破壊を止められるのか?」
ウェンティはもちろんという風にうなずいた。
「もちろん、ボクはこの世界で一番の詩人だからね。
過去、未来、そして今、ボクの知らない詩はないよ。」
それから、目をウルッとさせて旅人を上目遣いで見つめる。
「ボクの目を見て。ボクのこと頼もしいと思わない?」
「思わない。」
それを一刀両断したのはミラージュだった。
「あんた、西風騎士の前で何計画してんの……」
ウェンティはこてん、と可愛く首を傾げた。
「え? 協力してくれないの?」
「可愛い子ぶっても無駄。」
ミラージュは腕を組んで、体の重心を左足に移動させた。
「あんたがどうやってライアーを取り出すか……何年一緒にいてきたと思ってんの?」
「ええ…でも、天空のライアーがあれば、ボクはモンドを救うことが出来る。モンド人の安全は守られ、騎士団の負担も減る。いいと思わない?」
「うっ……」
改めて考えたらそうだ。
しかし……
「じゃあ、情報だけ教えてよ。手を出さなくてもいいからさ。」
「何を話してるんだ……?」
話が分からないパイモンは旅人の顔を見た。
旅人も首を横に振る。
どうやら、これは長年付き合ってきた二人にしかわからない話題のようだ。
「はぁ……じゃ、情報だけだから。」
「あの……」
旅人に話しかけられ、ミラージュは旅人に向き直った。
「ん? ああ。天空のライアーの居場所の話だよ。」
どこか誤魔化されたような気もしないではないが、旅人は追及するのをやめた。
「それで? どこにあるんだい?」
ウェンティがミラージュの答えを急かす。
「天空のライアーは___」
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作者名:おいしいじゃがいも | 作成日時:2023年4月5日 20時