緑の少年と詩 ページ29
騎士団から数歩。
パイモンは旅人に話しかけた。
「さっき…言わなかったことがあるよな。
あの時、オイラたちが見たのは、龍と結晶の他に…」
緑の服の少年。
あの少年もかなり謎が多い。
しかし、彼が悪者には見えなかった。
このことをパイモンに伝えると、パイモンは怒った様子で『緑やろー!』と拗ねていたが、階段の下で走る少年を目にし、恨みのこもった声で言った。
「下にいるあの人と同じぐらい…!」
パイモンの目線を追い、蛍もそれをとらえる。
「…本人だと思う…。」
まったく同じような服…これは本人という他ない。
パイモンはハッとし、少年を二度見してから、大きな声で叫んだ。
「なに____!?」
パイモンは慌てて階段を降りながら、「急いで追うぞ!」と蛍をせかす。
蛍も走ってパイモンについていった。
しかし、間にある差は大きく、しばらく追っていると見失ってしまった。
ここで、パイモンに提案された『元素視覚』だ。
あの少年が神の目を持っていて助かった。
黄緑色の足跡を追い、走り続けていると、ふと足跡が壁に向かったところで消えた。
おそらく、彼はここを登ったのだと推測し、深く考えずに壁に手をかける。
再び走り続け、肩で息をしながらアンバーが風の翼を渡してくれた広場にたどり着くと、人だかりができていた。
人ごみに入って行くと、真ん中では人に囲まれ、あの少年がライアーを手にし、詩を歌っていたのだった___
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おいしいじゃがいも | 作成日時:2023年4月5日 20時