赤い雫 ページ26
騎士団本部に入り、ジンの部屋に着くと、蛍は早速森で拾ったあの赤いまがまがしい結晶を取り出した。
ジンは驚いたようにリサをちらっと見た。
「これはある力が含まれた結晶だ…リサ、これの構造分析を頼めるか?」
リサはその結晶を見つめ、うなずいた。
「ええ、ちょっと確認するわね。」
そうして、リサは雫に近づき、すぐに「結晶の中に不純物がある」という事実に気づいた。さすが教令院の天才である。
しかし、さすがのリサもそれ以上のことは見ただけではわからなかった。
リサに、長いこと図書館に引きこもっているミラージュが言った。
「前、確かそのような資料を見たような気がします。
多分、それを使えば更に研究できるはず。」
それを聞き、ジンはリサに話しかけた。
「ああ、ではリサ、その研究は任せた。」
「ええ、何か進展があったら、みんなに知らせるわね。」
「まぁ、あまり古代の文献には期待しないで。それに―――いたっ!」
リサが雫に触れようとすると、チクリとした痛みが体に走った。
どうやら、神の目と相殺したらしい。
この不純物は、元素力を排除しようとしている……
「でも、おかしいわ…」
リサは眉をひそめ、顔を上げた。
「あなたも元素の力を使いこなせるのに、影響を受けないの?」
その問いに、旅人は口をつぐんでいた。
すると、ミラージュが一歩前に出て、言った。
「旅人は、不思議な人間……今までに前例が存在しない者。」
「旅人はきっと、この世界を揺るがす存在になる。」
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作者名:おいしいじゃがいも | 作成日時:2023年4月5日 20時