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(はぁ…ガイア先輩、大丈夫かなー)
ぼんやりとミラージュは腕を上げて伸びをした。
ミラージュぐらいの騎士になれば、あの時、誰かについてこられているというのはすぐわかることだ。
(あ、もしかして、闇夜の英雄さんも来てくれてんのかな?)
闇夜の英雄が、酒場の店主・ディルックを指しているということをミラージュは知っている。
夜、散歩に行ったら、偶然アビスと戦うディルックを見かけたのだ。
その特徴は闇夜の英雄、そのまんま。それでミラージュは知ったのである。
「次はリサさんのところだねーって、あ、いる。」
ミラージュが無言を断ち切るように言い、大きな目立つ紫色の帽子のほうに目をやった。
「リサさーん、来ましたよー!」
ミラージュが大きく手を振りながら近づくと、リサは優しく微笑んでくれた。
「あら、かわいい子ちゃんたち。危ないのに手伝ってくれるなんて感激だわ。」
ふわり、と大人の笑みを浮かべるリサ。
「何かわからないことがあったら、お姉さんに聞いてちょうだい。」
リサが頼れる言葉を言ってくれた。
それに甘えて、旅人は口を開く。
「どうして図書館司書が遺跡に……」
「あら、いい質問ね。」
それから、楽しそうに笑った。
「それはもちろん、ジンが私を信頼してるからよ。」
確かに、リサとジンの仲はいい。ミラージュはそれを毎日のように見てきた。
たまに二人で外食に行っているところも、見かけたりする。
でも……腐っても図書館司書なのになぁ……
ミラージュはちょっと納得いかなかったが、それを口に出すのはやめておいた。
ぼうっと自分の考えにふけている間に、出発が決められていた。
少し先を歩くパイモンを追い越し、遺跡の扉に手をかける。
パイモンたちが不思議に思うと、ミラージュは悪戯っぽい微笑みを浮かべた。
「私にも見せ場は必要だからね。」
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作者名:おいしいじゃがいも | 作成日時:2023年4月5日 20時