第一幕 風を捕まえる異郷人_ ページ3
「あれが七天神像だぞ!」
パイモンが七天神像を指さした。
「おまえが探してるのが、この風の神かどうかは知らないけど…風神の領地に連れてきたのには、ちゃんと理由があるんだぞ。…って、ん?」
パイモンは七天神像の前に、一人の少女がいることに気づく。
少女のほうはというと、さっきからずっとこちらに気づいていたらしい。
少女はパイモンと蛍に手を降った。
「こんにちは、異郷人。いや…この世界に属さぬ者よ。風のご加護があらんことを。」
少女は彼女に挨拶した。
「えっ!? なんでわかったんだ。」
パイモンはひどく驚いている。
どうしてこの世界に属さないとわかったのだろうか。
「うーん…騎士のカン?」
そんな不思議なことを言ってから、少女はハッとした。
「おっと。自己紹介を忘れるところだった…。私はミラージュ。西風騎士団の雷火騎士。運がよかったね、異郷人。」
ミラージュは蛍に微笑みかけた。
蛍も自己紹介をする。
「私は蛍。隣はパイモン。」
「へぇ…パイモンっていうんだ。面白い生命体…。」
「そんな解剖したそうな目でオイラを見るな!」
パイモンが突っ込んだ。
「ところで、蛍たち、七天神像とか言ってたっけ。」
「あっ、そうだぞ! オイラたちは七天神像に来たかったんだ!」
パイモンは「改めて」と蛍に紹介する。
「まずは象に触れて、「元素」を感じてみよう!」
二人と一匹は七天神像に近づいた。
蛍は神像に触れる。
すると、風神が持つ水玉が鮮やかなエメラルド色に輝き、光の玉が飛び出して蛍の体に絡みついた。
「どうだ?この世界の「元素」を感じたか?」
ミラージュは興味深そうに言った。
「神像に触れただけで元素と共鳴…? 聞いたことがない…」
「どういうこと?」
蛍がミラージュに聞く。
「本来、この世界の人々が元素力を手にするためには「神の目」…、そう、ほら、ここについてるやつを神からもらわなくてはならない…」
ミラージュは自分の長い靴下についている神の目を指さした。
「これをもらうこと自体、まず難しいのに…。蛍は触れるだけでそれを手に入れた。」
「この力の源…やっぱり…」
と、蛍はつぶやいた。
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作者名:おいしいじゃがいも | 作成日時:2023年4月5日 20時