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だいぶ前に時計の短い針はてっぺんを指し、




今はもうその針は下り始めている。







寝ているかもしれないAを起こさないようにそっと鍵を回してドアを開ける。





小さくただいま、とつぶやくけど おかえり、は帰ってこない。








当たり前だ。






帰りがこんなに遅いんだ。






夫婦になっても二人で過ごせる時間は少ない。






夜は遅いし朝も早い。



一日オフの日なんて滅多にないし、あったとしても疲れてずっと寝てしまう。







Aには申し訳ないことをしているな、と思いながらリビングのドアを開けるとソファに小さくうずくまりながら寝ているAがいる。







俺のこと、待っていてくれたの?








寝顔をのぞけば頬には涙が伝った跡。




まつげはまだ少し濡れていて抱えているクッションには小さなシミがいくつか出来ている。







…………………あぁ、俺何やってるんだろう。









“寂しい”を言わないAに甘えすぎていた。





“寂しい”は言わなかったんじゃない





俺が言わせなかったんだ。








言えなかったんだ、“寂しい”を。









細くなってしまった指で輝く婚約指輪。







俺はこれを渡した時に、心の中で誓ったはずだ。







Aのことは、守る。





Aを絶対泣かせない、って。









全然できてないことに、今更気づいた。






守られてたことに、支えられてたことに、今更気づいた。








ねぇ、A、






遅すぎる?





気づくの、遅すぎたかな。






Aは俺が気づかないところで何回泣いてたの?







なんかい寂しい思いをさせた?






何回作ってくれた夕食を無駄にした?









こんな男、いや?






気付けば鼻の奥がツーンとして、目頭が熱くなる。







自分が情けなくて涙が出てくる。









Aを幸せにしてあげられない自分に腹が立つ。








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いっそ、仕事なんてやめてずっとずっとAのそばにいたいよ。








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supreme(プロフ) - maさん» ma様、コメントありがとうございます。完結してから時間が経った今でもコメントしてくださってとても嬉しいです!これからも頑張ります!宜しくお願いします。 (2017年10月2日 14時) (レス) id: 631f6e21c3 (このIDを非表示/違反報告)
ma - 全部読んで最後涙が止まらなかったです!共感出来る所がいっぱいで泣いちゃいました笑これからも作品楽しみにしてます! (2017年10月2日 13時) (レス) id: 939487ade5 (このIDを非表示/違反報告)
supreme(プロフ) - 美和さん» 美和さん、コメントありがとうございます!共感していただけて、本当に嬉しいです!これからも更新頑張ります、よろしくお願いします (2016年9月15日 20時) (レス) id: 631f6e21c3 (このIDを非表示/違反報告)
美和 - 主人公ちゃんと私歳が近いから共感出来ました。続き読みたいです (2016年9月15日 17時) (レス) id: c7fea19952 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:supreme | 作成日時:2016年9月6日 7時

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