厄介なやつに好かれたら【降谷零】

29 ページ29

「ヘックシュンッ！！」



誰か私の噂でもしてるのかな。

雨やまないし、降谷さん来ないし、本当に最悪な日だよ。


昨日は降谷さんに腕を取られて寮へ戻ったんだけど、デジャブが発生して教官に怒られたかと思えば降谷さんは全ての責任を私に押し付けやがった。


やっぱ鬼だあの人。


でも雨に濡れて私の腕を引っ張る彼はかっこよかったから許す。

水も滴るいい男ってことで……





ところで今何時なんだろ……

もう結構時間経った気がするんだけど



「充電切れてる」




時間を確認しようと携帯を開けば、真っ黒い画面に充電しろの記号が表示されてた。

まぁ、私には秘密兵器があるのでそんなもの無用なんだけどさ。

そう、上を向けば時計台があるのだ。

なんて便利なのでしょう。



針は10時を示してた。

約束の時間は9時だったし降谷さん間違えたかな。

それとも約束をほったらかしたとか、事故にあったとか……



「……」




動きたい。

切実に動きたい。

動いて公衆電話でも見つけて、寮に電話して、降谷さんの安否を確認したい。

でも私がいない間に彼が来たら最悪だし。


怖いな。

降谷さん、なにもなきゃ良いけど……


朝5時に寮を出て5時半頃からはここにいるから結構寒いし。

大体傘持って来てないしさ……雨降り出したの寮出てすぐだったんだもん。



「降谷さんがどうか無事でありますように」



兎に角デートどころじゃなかった。

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す