厄介なやつに好かれたら【降谷零】

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「３８度９分か。今日は寝てろ」



後日

オレ、降谷零は何故か風邪を引いた。

いや、思い当たる節はある。



「まさか雨に数分打たれただけで風邪引くなんてな」

「たまたまさ……」



諸伏が呆れ顔でそう呟く。

一番部屋が近い松田を呼び出したはずなのに、諸伏以外にも萩原や伊達まで来やがった。

こいつら暇人なのか。

なぁ、暇人なのか。



「どう言うことだ。雨に数分打たれたって……昨日だとしたら雨が降り出したのは結構遅い時間だっだよな。なんでそんな時間に外なんかに出てたんだよ」



あぁ……そうだった。

松田には話してなかったもんな……と言うか話せなかったもんな。

その原因が楪に言ったオレの無神経な言葉のせいだって……今、最もお前の悩みである好きな女のことなんて相談できるわけがな……



「そういや昨日の夜教官に楪と怒られてたじゃねぇか。まさかそれが関係してんのか」

「なんで知ってんだ……」

「割と近いとこにいたからな。あんなでかい声で説教されてりゃ嫌でも耳に入るさ」

「ただあいつと物を壊しただけさ」

「降谷……隠し事はなしだぜ」



何も自分は怖くないとばかりなその大胆不敵な瞳が、正直オレは羨ましかった。

こいつは強いんだなと……毎度気づかされる。

だから話してやった。

どうしてオレがこんな結果に至ったのか。



「お前馬鹿だな」



そして最終的にはこのザマだ。

お前たちの心は繋がっているのか。

何故皆同じセリフを同じ顔して言うんだ。



「やっぱ松田も思うよな」

「あぁ……勉強ができても女心がわからないとこれからやってけないぜ。お前なんか特に特別なことを将来やり遂げたいんだろう」

「松田にそんなこと言われたら改善する必要があるな」

「第一、オレはあいつがお前のことが好きと知っている上で好きになったんだから、今更そんなこと隠す必要ないって……ん……まてよ。こいつら普通にオレの話聞いてるが、まさか降谷勝手にバラしたとかないよな」

「隠し事はなしと言ったのは誰だ松田君」



キッとに松田に睨み返されたので顔を逸らしてやった。

我ながら上手く回避したと思う。

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