厄介なやつに好かれたら【降谷零】

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「オレ、もしかしたらあいつのこと好きかも」

「あいつって……あぁ、前、連絡先聞かれたとか言ってた女？」

「いや、そんな奴興味ない。そっちじゃなくてメスゴリラの方の」

「メスゴリラって……楪か？あいつ確かにゴリラだもんな……って今なんて言った」



夕食後、寮へ戻れば部屋に松田がいた。

正座してらしくもないことしてんな、と思ったが、拍子抜けたこと言ってきて思わず声を出して驚く。



「お前どっか頭打ったろ」

「それはない。オレだって実際かなり動揺してる。思い違いかと思って何度も考え直した。けど多分あいつのこと好きだ」

「嘘だ」

「嘘じゃない」



『できることなら夢がいい』

そう言いながら頭を抱え込んだ松田の様子を見る限りドッキリではなさそうだな。

一体楪はどうやって松田を落としたのか。



「あ、そうだ降谷これやるよ」

「なんだこれ」



いきなり松田から折り紙のハトを一羽手渡される。

こいつ……やっぱ頭打ったな。



「それ、楪が折ったやつなんだけど」

「あぁ……あいつか」



納得した。

ハト作るくらいめでたいやつだし。

とりあえずこのハトの作成者が松田じゃないことに安堵する。



「でもなんでこんなもの」

「お前のこと心配して千羽鶴折ってたみたいなんだがそれがただハトだったって話」

「状況が理解しきれてない」

「まぁ、貰ってやってくれ。本当は友達のハトがいっぱいいたんだが、事情があって全部破れた」



千羽鶴って……オレは確かにあいつから一本取られてから暫く寝込んだが、いつまでも寝てるわけないだろう。

しかも、そんな重症じゃない。

それと、鶴とハトを折り間違える奴がどこにいる。



本当……どうして松田はあんなやつのことを



「あのな降谷……人を好きになるのに理由はいらないんだぜ」



こんな時にも関わらず、余裕の笑みでそう言ったこいつの自信はどこから湧き出ているものなのか。

とりあえず楪に何があったか聞くのが手っ取り早そうだ。

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