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私の気を紛らわすものは、この狭い部屋にはたった1つ。テレビだけ……。
窓から見える景色だって、自然の音だって、
この季節の美しさは、2人で歩いた帰り道を私に思い出させる。
多くの人が空き時間に利用するスマートフォンだって、
そのアルバムの中には、彼を直接的に思い出させるものがある。
そう思ってつけたテレビでは、いつもの星座占い。
私の星座は6位で、ラッキーアイテムは金平糖。
そういやあの日……6位だった日、そのときのラッキーアイテムはシャーペンだったなぁ……って、
やっぱりテレビだって、
私に、彼への想いをまた認めさせようとしてくる。
せっかく忘れようとしていたこの気持ちを、周りの何かが、引き出しから出してこようとしてくる。
私はただ、気持ちを切り替えて前に進みたいだけなのに……。
それなのに……、
“やめろ!”と、よくサスペンスドラマで良いタイミングで登場する刑事のように、周りの何かが私を止める。
私は今、何か間違ったことをしようとしてる……?
何も間違ってないでしょう……?
だってただ私は、気持ちを…………忘れようとしているだけだから。
ピンポーン
久しぶりに聞いたこのチャイムに少し驚いたのか、誰なのかなんて確認もせず、そのまま玄関に向かっていった。
ガチャッ……
と開けたドアの先、
私が想像できなかった未来が、そこにあった。
『えっ…!?』
嘘……っ…………
北「ちゃんと誰か確認してから開けないと危ないでしょ?」
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作者名:北極星ポラリス | 作成日時:2023年2月5日 13時